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3 子どもたちの変容の例

子どもたちの言動の未熟さに関しても,驚かされることがたくさんあります。
ある日,体育館で授業を行っていたときです。体育館の横が下校ルートになっているため,下級生が大声で話しながら通り過ぎようとしていました。ちょうど体育館では講演会を行っていたため,「お話が聞こえなくなってしまうから,静かにしようね」と声をかけました。すると,一人の子どもが,大声を出している友達の顔を,いきなりげんこつで殴ったのです。
その子どもは,迷惑をかけてはいけないといった気持ちを,相手の子どもに伝えたかったのだと思いますが,それをいきなり殴るという形で行ってしまいました。
私は,静かにしなければならないと感じた気持ちを受け止めてから,相手にはどうやって伝えるべきかを話して聞かせました。

もうひとつの例です。
あるとき,高学年の子どもたちが,「Yをシカトしようぜ」と話し合っているのが聞こえてきました。シカトというのは,「無視」の意味です。
私は,何があったのかを聞きました。とても素直な子どもたちなので,すぐに理由を話してくれました。
Y君は,毎日のように遊ぶ約束をするのに,いつも待ち合わせの場所に現れないのだそうです。約束をした仲間以外の友達と遊んでいるのを見かけたので,二度と誘いたくないというのが子どもたちの言い分でした。
そこでY君に聞いてみると,事実だということがわかりました。Y君は,今後は遊べないときには正直に伝えると約束をしてくれました。他の子どもたちにも,遊べないからといって,意地悪をしたり,無視したりするのはやめようと伝えました。それぞれの子どもたちは,私との数分間の話し合いで,すっきりしたような表情を見せてくれました。
しかし,このような遊びの約束に関して,以前ならば教師が介入することは少なかったと思います。もう少し大きなすれ違いであったならば,大人の意見を伝えることもあるでしょうが,遊びの約束の件で調整役が必要であるのは,ちょっと困ったことです。
相手の気持ちや立場を理解し,自分の考えを上手に表現すれば避けることができるトラブルを,子どもたちは日常的に抱えているように感じます。