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赤木かん子の読書Q&A

調べ学習
Q25

どうやって調べさせたらいいのでしょうか?(その23)

〈上級編〉—「調べ学習」全体の構成について—

A

実技系のものは,文章で書くとたいそう難しく見えます。

Q21~23に書いたことは,実際にやってみれば小学校3年生でもできることなのですが,実際にやってみないで文章だけ読むと,誰でも嫌になるものなので,まずは“調べ学習の基礎の基礎”を一度やってみてください。やってみれば実に簡単なことなのですが,文で書くとこれ以上やさしく書けないのです。

自分ではわかっていることでも,それを他の人に解説するにはテクニックがいります。

しかも誰も教えてくれなかったら自分でつくるしかないわけですから,「とにかくやってみよう。」でわたしの調べ学習は始まり,最初の頃に比べれば,かなり進歩したと思います。だんだん自分でも深くなっていくのがわかって楽しいし,そうして説明もだんだんうまくなっていく……と思いますが,どうでしょうかね?

では今回は改めて「調べ学習」全体の構成を見てみます。

調べ学習は段階的に第一段階,第二段階,第三段階に分けて考えます。 その第一段階は“テーマを決める”“戦略をたてる”“出典を書く”の三つですが,さらにこの“テーマを決める”は,初級編,中級編,上級編,に分かれます。

“テーマを決める“初級編は,何も見ないで自分の頭だけで考えるレベル……でも,この方法だと,自分の知ってることしか使えません。

中級編は百科事典を使うやり方。百科事典を使うことで自分が今知っていることだけでは見落としてしまう,もっと面白いテーマを見つけることができるのです。ここまでは3年生でもできます。

上級編は,百科事典を使った上に,さらに専門書を使うやり方。

これは5年生でないと無理だということがやってみてわかりました。

わかる人もいるけど,クラス全体としては5年生の後半か,6年生になったばかりのときが適切な時期です。

“戦略をたてる”は,どうやったら自分の疑問を解決できるか考えることで,ここはおおざっぱに言うと

1)人に聞く

2)本を探す

3)自分で実験,あるいはフィールドワークに行く,つまりは,やってみる

に分かれます。そうして“戦略をたてる”もまた,初級編,中級編,上級編に分かれますが,ここでは初級編をやることになる……つまりは,疑問をつくり,その答えを本で見つけられたら,オッケーってレベルです。

わかりにくいのは,同じ“戦略をたてる”でも,第一段階のレベルのものと第三段階のレベルのものがあることですね。

次の“出典を書く”は,出典を書くためには

1)なぜ書かなくてはいけないのか……目的を知る

2)書くためには奥付を理解できることが必要

3)著作権,ウラをとる(根拠や事実を確かめる),を理解する

の三つになります。

そうして第二段階は,それをレポートにまとめるためのハウツウですが,ここまでは一番簡単なレポートを書くときにも必要です。

ここで一つ言っておきたいのですが,第二段階までは,調べ学習ではなく,本当はレファレンス実習と呼ぶべきものなのです。

つまり一対一対応の疑問を作って,その答えを見つける,という実習ね。

どんな疑問も,これ以上小さくできない,という単位まで分解していって,その答えを見つけて,それを材料に考えていくわけで,小学生はそこまでできなくてもいいや,とわたしは思っているんです。だって,練習なんですから。小学生は年令相応のことができればいいんであって,それはレファレンス実習までなんですよ。

ただし,その“疑問に対しての答えを見つける”のレファレンス実習を,調べ学習なんだ!と誤解されると困るんです。

たとえばカレーを作るときの材料集め……ジャガイモだのにんじんだの,豚肉だの,を集めてくる作業で,そういう材料を使って,カレーという,ジャガイモやにんじんとはまったく別のものを作るのが本当の調べ学習なんですね。

というわけで,6年生,あるいは,中学生には,第三段階が必要なんだ,とようやく今年,そこまでたどり着きました。

というのも,中学ではあまり授業をさせていただけないので,(しかも12時間とかはもらえないので)そこまでたどり着けなかったのと,やっと,第二段階までは整理され,磨かれて,わかりやすくなったからです。

今年は第三段階の授業を作り上げていく番です。

これができるようになれば,6年生がレファレンス実習ではない,ちゃんとした調べ学習のレポートを書けるようになる…(わたしも解説できるようになる)はず!よ。

わたしと司書教諭の塩谷先生で作った『しらべる力をそだてる授業!』(ポプラ社)も参考にしてね。

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