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赤木かん子の読書Q&A

調べ学習
Q8

どうやって調べさせたらいいのでしょうか?(その6)

〈初級編〉—図書館司書について—

A

前回の補足です。日本の公共図書館で働いている人は,全員が司書というわけではありません。また,司書であっても人によって考え方が違うので,場合によっては子どもの面倒は学校がみるべきだと主張する人もいます。また,司書はさまざまな意味で答えを教えたり,意見を断定したりしてはいけないことになっています。たとえば,最近胃の調子が悪いんだけど……と言われても病気の診断をしてはいけないことになっているし,骨董品の鑑定もしてはいけないことになっています。この本にあなたの言う症状と似たようなことが書いてありますよ,という本をご案内するのが司書の仕事で,あくまでも判断するのはご本人でなければならないわけですね。

データを提供するのが司書で,こういうことを知りたいんだけど,どうやって探していいかわからない……という方々のお手伝いをするのが仕事なんです。だから“宿題の手伝いをすることはできません!”と言って,子どもの調べ学習のケアを全面的に否定する司書もなかにはいるのですが,そういうときには,“相手がだれであっても,子どもでも大人でも,本の使い方,図書館の使い方,レポートの書き方のレクチャーをするのは司書の仕事ではないですか?!”と言ってください。

今のお客様のなかには,本当に全面的におんぶにだっこで,“これ調べたいんですけど”と教授の課題を持ってきて,“それはここらへんの本に書いてありますよ”と言うと,“えっ? これをわたしが読むんですか?!”と露骨にいやな顔をしたり(ほかにいったい,だれが読むというんじゃ!),しかたないので,“ここに書いてありますよ”と本を開いて差し出しても,読みもせずに(ついでに言うと,礼も言わず)ひったくってコピーに走り,参考文献も書かないので,説明しようとすると,そんな面倒なことはいいとばかりににらみつけてくるような方もいらっしゃるので,そういうことが何度も続くと,確かに,ちったあ,自分でやらんかい! 的な気分になるのも無理はないとは思います。

でも,そのうっぷんを何も説明されてない小学生にぶつけてくるのは言語道断でしょう。それは明らかに,相手が子どもだから馬鹿にしても自分にははねかえってこないだろうと安心しているからやるんだもんね。言うべきことはその大学生に言いなよ,ですよ。

確かに学校も,調べてこいのひと言で図書館に追いやるのは無責任といえば無責任です。ですから,自分ができないなら,司書をよんで調べ方のノウハウをしゃべらせてください。自校に学校司書がいるならラッキー,その人に解説させてください。ときどき“教師でもない者に授業はさせられん!”と言って怒る先生もいますが,どんな職種だろうと専門性は教師性をもつものです。

ただ,たとえば,腕のいい大工が全員話がうまいとか,解説や相手の特性を見るのが上手だとは限らない……だから全員が教えることに向くとは限らないわけで,だから司書としては有能でも説明はヘタという人もいるかもしれません。そうやって考えると,教師という職業は,解説者としてのプロであるわけですが,大工をしたことがない人が大工を育てるのが難しいように,図書館情報学を習ったことがない方がそれを教えることができるようになるのはかなり難しいだろうと思います。とっとと他人に押しつけたほうが早いよ。

というわけで,司書は論文の中身に口を出してはいけないことになっています。それは先生の仕事です。でもその前に,データを提供したり,本や図書館の取り扱い説明をしたり,レポートの書き方を説明したりするのは司書の担当なので,説明させてください。そうすれば,子どもたちは生涯図書館を使いこなすことができるようになるのですから——。

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