みつむら web magazine

パネルサインについて

読書Q&A 学校図書館(実技編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

学校図書館に必要なものは何か、どうやって作ればよいのか、壊れた本をどうやって修理すればよいのかなど、実際の写真を示しながらご紹介します。

パネルサインについて

図書館の配置の理想は、入口に立ってあたりをぐるっと見渡したときに、どこに何があるかだいたい見当がつくことです。「自分の欲しい本はあのへんにあるな」と見当がつけば歩き出すことができますが、人間はそれを無意識にやるもので、いちいち意識しないと動けない場所は「疲れる」と思うものです。その無意識に「ここにはこんな本がありますよ」と教えるのがポスターやサインの役目で、人はそういうものをぼんやりと見て(つまり見ていても自分は気がつかないで)そのサインに従うものなのです。ですから動物のポスターが貼ってあるのに、そこに行ったら法律の本だった……となると、「あれっ??」と思ってしまいます。まったく関係のないサインやポスターは混乱のもとなのです。というわけで、本棚と天井のあいだのスペースなどに「私のまわりにあるのはこういう本たちですよ」というサインをおきます。それがパネルサインです。

この前もある幼稚園で分類ルールの話をしたところ、「あら、いいわね」まではよかったのですが、「シールはいいわ、自分たちでコンピュータのなかにあるイラストで安く作るから」とおっしゃられました。園長先生が……。先生~。目に見えないもの……「考え方」や「アイデア」にも著作権てあるんですよ~?! ご存知ないんですか~?! それに、それでうまくいくもんなら私だってそうしてますって! なにも好き好んで大金かけて、シールだのサインだのって商品作ったりしませんよ~! もうかるどころか、誰が考えたって大赤字になるに決まってるんですから~。

パネルサインがキマってないと、部屋全体がぼやけて見えて、しまりがなくなり、魅力が激減します。今まで、本棚の中身を必死に作ってきたのがみごとに、パーになるんです。ホント、がっかりして、力、抜けますよ? 私だってあちこち見て歩いて、「世界地図」だの「おはなしめいろ」だの「ぬいぐるみ」だの、小学校図書館を引き立ててくれる道具を必死になって探したんです。なんでもいいんならインテリアコーディネーターなんて仕事は存在しませんよ。居心地のいい、魅力的な図書館を作るには、本だけ揃えてもダメなんです。ヘタなサインや飾りは作らないで~、お願いだから!

目次

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

関連記事

記事を探す

カテゴリ別

学校区分

教科別

対象

特集