メニュー

赤木かん子の読書Q&A

読み聞かせ
Q1
 小学校で読み聞かせのボランティアをすることになりました。本を選ぶとき,どういうことに気をつければいいでしょうか。
A
 子どもたちに本を読んでやるいちばん大きな究極の目的は,子どもたちを“幸福にすること”です。
 ですから,もしある本を読んでやって,その子が不幸になるならば……それはやめないといけません。
 これを読んでやってこの子は幸福になるかしら? と考えて,不幸になるな,と思うのならやめないといけないのです。

 もっと小さな目的の一つは,“子どもたちに本を好きになってもらう”ことです。
 なぜこれが“小さな”目的かというと,お話を読んでもらって楽しい時間を過ごした子どもが,100パーセント本好きになるとは限らない……それでも,かまわないからです。なってくれるんならそれにこしたことはないけれども,その子が幸福な時間を過ごしたかどうかのほうが,本を好きになるかどうかよりもはるかに大きく,はるかに重要な目的だからです。

 そうして本はおもしろいな,楽しいな,と思ってもらうためには,その子自身がおもしろい,楽しい,と思う本でなければなりません。
 嫌いな,ちっとも楽しくない本を読まれたら,あたりまえですが,その子は,本ってなんてつまらないんだろう,と思うにちがいありません。

 では,どうすればいいのかというと,聞き手であり,お客さんである子どもたちが“おもしろい”“楽しい”“魅力的だ”と感じる本を選ぶこと……。
 読み手であるみなさんだけが“おもしろい”“良い本だ”と感じる本は,選ばないようにすることです。

 そういうと,必ず,子どもが喜ぶ本だけでいいのか? という大人がいますが,子どもは,子どもを守ってくれる本は,喜ぶのです。そうして子どもが喜ばない本は,子どもを守ってくれないことが多いのです。大人が必ずしも子どもを守らないように,子どもの本も必ず子どもを守ってくれるわけではありません……。守ってくれない本を,わざわざ読んでやる必要はないでしょう? 片方に守ってくれる本が何千冊もあるというのに!

 本を好きになってほしいのです。楽しくないけど必要な本だ,というものを読むのは,“本を好きになってから”“もっと大きくなってから”でも間に合います。しかも,“楽しくないけど必要なんだから読まなくちゃ”は“自分で決めて”ほしいのです。これはあなたには必要なのよ,なんてよく知りもしない他人の人生にそこまでちょっかいを出すのはおせっかいというものです。
 絵本だってそうたくさん読んでもらえるわけでもないでしょう。その数少ないチャンスに,楽しくて,幸福な時間を過ごしてもらいたいのです。

 そういうわけで,まず,どんな本がいいかというなら,“あなたが読んでやりたい本”ではなく,“子どもたちが読んでもらいたい本”にしてください。“子どもが読んでもらいたい本”で,かつ“優れている本”は山のようにあるのですから——。

次へ