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Q4. 大規模校ということもあって、いつの間にか蔵書数が増えてしまいました。増えてしまった蔵書を整理したいのですが、どこから手をつけたらいいでしょうか。(その4)

読書Q&A 学校図書館(理論編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。

A(回答)

Q3で、ミステリー、ホラー、ファンタジーは別置……という話をしました。このやり方は、長年司書をやっている方ほど、えーっ!と抵抗されます。というのもNDCというのは、“物語はその原本が書かれた言語でまず分け、次に作者の名前のあいうえお順で分ける”というのが基本ルールだからです。でも、本が少ない小さい図書館では言語別に分けてもあまり役に立ちません。だから、小さい図書館の代表みたいな小学校図書館の場合、そもそも日本と外国の二つにしか分けないのです。そのうえ、別置のジャンルは、外国、日本の区別もしないでいっしょに入れてしまいます。そうすると、逆に今のファンタジーがどうなっているのか俯瞰できる棚ができます。

ごめん、よくわからないという方は、とにかくこの三つの棚を作って、とりあえず今ある物語のうち、この三つに入るものは全部抜いてきて、そこに入れてみてください。人間の目は横には弱く、縦には強い……。だから、上から下まで縦に同じものを入れるやり方で、その本棚の作りにもよりますが、上から下まで文学サイズの棚だったら、全ジャンル1本(本棚は1本2本と数えます)ずつ、上3段か4段が文学サイズで下は大型サイズ2段の本棚は、下には違うジャンルを入れますから、ホラーは上1本、ミステリー、ファンタジーは、本当はそれぞれ2本は必要ですが、スペースがなければ1本ずつでいいでしょう。そうしてここまで小さくして初めて、あっ、あの本がない、あのシリーズ買ってない、というのが見えてきます。ジャンルごとに必要なブックリストだって作ることができるし、今ある本がわからなければ、本当は次の本は買えないはずなのです。全部の本をいっぺんに考えるとだれだって頭がパンクしますから、把握できるくらいのサイズのパーツに分けて、その一つ一つを考えるのです。それを一つ一つやっていくと、いつかは全部終わるでしょう。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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