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Q25. 副本の買い方について教えてください。

読書Q&A 学校図書館(理論編)

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

どうすれば子どもたちが集まる図書館になるのでしょう。本のそろえ方や整理のしかたなど、学校図書館の作り方や運営方法に関する悩みにお答えします。

A(回答)

同じ本を何冊も買う、というやり方は基本的にはしないほうがいいと思います。
なぜかというと、“情報は必ずウラをとらなくてはならない”ので、同じジャンルのものは、違う著者の書いた、違う本を買う、……が基本だからです。

本だからといって、信用はできません。ですから情報は必ず、ほかの本で確認をとらなくてはなりません。
“その情報は、どのくらい信用できるのか?”
が、一番大事なこと、論文審査で一番先に訊かれる事でしょう。
だって、たとえば、「不正はありませんでした。」という報告を書いた人が、その不正をしている人の家族だったら…?
それは信用できないよね……になりませんか?

ですから、たとえば“環境汚染”についての本を40人分必要だ、というなら40冊、違う人の書いた、違う本を買うものです。
Aさんはこう言ってる、Bさんは違う意見だ、Cさんは……ということを調べていって自分なりの結論を出すことを“調べる”というのであって、だれかの言うことを鵜呑みにすることは調べたことにはなりませんから。

もし、小学校で副本を買うとしたら、たとえば“環境汚染”がテーマの本を買うなら80冊違うものを買って、同じ本を買うのは文学だけ、ということになります。それも「かいけつゾロリ」とか「ミッケ」のような、子どもたちの8割がはまっている!というようなものが主なものですから、エンターテインメント系だ、ということになります。
そのほかでしたら、“ギネスブック”とか“国語の辞書”なども複数あったほうがいい本だということになります。

たとえば教科書に載っている本を40冊欲しい、というのであれば、それは図書費からではなく、国語の教材費から買うべきでしょう。トマトやヘチマの苗と同じように、一人ひとつずつ必要だ、というのなら。
教材のみ! で図書館はできませんから。

そうして一番、究極の副本は、ホントは“百科事典”です。
百科事典は教室の後ろにいつも置いておいて欲しい、究極の学級文庫です。 でもこれは使い方の解説をしない限り使えない本ですので、高い買い物ですし、ゼッタイ置いて!とは言いにくいです。本来は学級文庫にして、使い方を説明するのがベストですが。
一度しか使わない本を40冊揃えるのはどう考えても無駄だ、とわたしは思っています。
何人もの子どもが同時に読んだり、何回も使ったりする本に限って、複数揃えるという考え方です。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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