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書写の学習が目ざすもの

書写の学習が目ざすものは,個別の文字の完成度を高めるのではなく,あらゆる文字を正しく整えて書くことができる方法「原理・原則」を習得し,社会生活におけるさまざまな書写活動に対応できる書写能力の向上です。
この理念に基づいて書写の学習過程(筆使いや字形を主とした場合)を考えると下図のようになるのではないでしょうか。

書写の学習過程

結論を先取りしていうと,文字を正しく整えて書くための知識(原理・原則)を理解すること,それを踏まえてさまざまな文字を書くことで応用力を養うことを目ざすことになります。

まず,文字を正しく整えて書くための原理・原則を文字X(原理・原則が明確な平易な文字。実際に書く文字Aでも可)で知り,次に基準をもつ文字A(手本)を観察して原理・原則を確認したうえで,実際に書いて理解を深めます。1枚目(A1),2枚目(A2)と,その都度,基準文字Aの原理・原則を確かめつつ書き進めます。その際,課題の発見,課題解決のための工夫や方法が検討されます。また,自己評価,相互評価,教師による支援・助言を通して課題や問題点の克服が行われます。最後のまとめは,学習成果の確認として,本学習で扱った文字X,A以外の原理・原則を含んだ文字B,Cなどを選んで書き,学習成果を確認します。この一連の活動では,知る(理解),見る(観察),書く(実験),確かめる(検証)などが循環的に行われ,一つの知識が実践によって習得され,そして応用・発展にもつながることを示しているといえるでしょう。

書写の学習は,ややもすると技能面に偏し,思考する場がほとんどないと捉えられがちです。しかし,文字を書く行為は,単純な筋肉運動ではなく,ましてや指先の巧緻性のみに支えられる行為ではありません。知の総体としての行為にほかなりませんから,あらゆる能力を結集して臨む必要があります。また,そうすることでそれぞれの能力を引き出し向上させることにもつながるでしょう。

今回示した学習過程は一つの例にすぎませんが,書写の学習が目ざすものは何かを明確にしたものとして参考にしていただきたいと思います。書写の授業開発はまだまだ工夫の余地がありそうです。