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わくわくどきどき社会科って楽しいな
・「自信をもって生きる」ことを支援する製品をつくる

 「ところで、スプーンってどんなときに使いますか?」
 逆に秋元さんから質問されてしまいました。えーと、まずカレーを食べるときでしょう……。
 「そう。統計によると、日本の家庭では月に平均2回カレーライスを食べています。ほかにはどうですか?」

 チャーハンやシチューを食べるときとか……、でも、それほど回数は多くない。あらためて考えてみると、スプーンを使う機会というのは意外に限られています。
 「そうでしょう。わたしたちの食生活では、やはり箸(はし)を使うことが主なんです。」

 スプーンづくりについて研鑽(けんさん)を積んできた秋元さんですが、日本の食文化全体に視野を広げて研究を進めていくなかで、やはり日本の食文化は箸の文化であり、「食の自律」をサポートするためには、スプーンだけでは十分でないと考えるに至ったそうです。

 そこで開発されたのが、「らくらく箸」と名付けられた製品です。

 その構造は、ピンセット状の金物で2本の箸を固定したというシンプルなものです。しかし、ふだん箸を使い慣れていない左手での実験を通して、その効果の大きさを実感しました。まず左手で普通の箸を使い、皿に盛られたアメをつまんでみます。手は震え、おぼつかない動作で、ようやく一つつまみ上げてはため息をつく。という感じです。 「一つ一つをつまむのに、たいへんなストレスがかかるでしょう。例えば幕の内弁当を一つ食べようとすると、その動作を150回前後も繰り返すことになるんですよ。」

「らくらく箸」です。左手で使ってみると、その効果が実感できます。

 左手での実験でよく分かったのは、特に難しいのは、2本の箸の先端をきちんとかみ合わせる動作だということでした。「らくらく箸」は、それをカバーしてくれるわけです。同じように左手でこの箸を試してみると、小さなものでも不思議なほど容易につまみ上げることができます。その効果は驚くほどです。

 「箸は日本の食文化に最も適した道具であるし、きちんと箸を使って食事することは、長く受け継がれてきた食事作法でもある。だからわたしたちは、この難しい箸の扱い方を、子どものころから時間をかけて習得するわけです。そして、親ともなれば、それを子どもたちに伝えていく。その箸を使えなくなってしまうのは、とてもつらいことです。指先の動きが不自由になり、箸が使えないのなら、もっと使いやすいスプーンをかわりに使えばよい、ということで済む問題ではありません。箸で食事ができるということには、子どもや孫たちにも教えてきた、きちんとした作法に沿って食事ができるという特別な意味があります。それは、自分自身に対しての誇りを維持することでもあるんです。」

 「食の自律」を援助できるトータルな製品を提供したい??その思いが、長く研鑽を積んできたスプーン、洋食器づくりにとらわれない新しい製品を次々に生み出しています。そうした秋元さんのものづくりの真摯な姿勢には、心打たれるものがありました。

オフィスには、「食の自律」をサポートするさまざまな製品が展示されています。写真は縁の角度を工夫し、中身をすくいやすくしたお皿です。「使いやすさ」を体感させていただきました。

その他、座ったままで調理できるフライパンや鍋など、「食べる」だけではなく「つくる」ことの支援をしてくれる製品も開発されています。
オフィスには、さまざまな製品を実際に使って体験できるキッチンも設けられていました。

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