17年度版教科書は、柄の形を自由に変えられる「ウィルシリーズ」のことを中心に紹介しました。
このシリーズには、子どもたちの「食の自律」を支援する製品も開発されています。
燕市は、日本を代表する洋食器の産地です。(株)コラボの母体である青芳(あおよし)製作所でも、伝統に培われた高い技術により、スプーンをはじめとする洋食器生産に長く携わってきました。
それまで当たり前に生産してきた食器を、「みんなにとって使いやすく」という観点のもとに一から見直してみる。その発想の転換が、「ウィルシリーズ」の名の通り、使う人が自分の意のままに柄の形を変えることのできる画期的なスプーンを生み出したのです。それは今から約20年ほど前のことです。このシリーズには、子ども用の製品もラインアップに加わっています。柄の形を次第に変えていくことで、まず「握れる」ようにする、次には「指で持てる」ようにする、というように、段階を踏みながら、「食の自律」を促してくれるのです。
「ライトシリーズ」のスプーンを手にする秋元さん。大学など専門機関との共同研究と、職人の技とがあいまって生み出されました。
写真で、秋元さんが手にしているのは「ライトシリーズ」として生産されているスプーンです。手に取ってみると、柄にボリューム感があり、しっくりと手になじむような形に工夫されていることがわかります。しかも、伝統的な金属加工の技法を駆使して柄の部分を中空構造にしているので、非常に軽い。握力や指先の力が弱くなってしまった人たちには、とても使いやすいことでしょう。
先端の部分にも工夫が凝らされています。通常のスプーンの場合、中央が深くなっているので、口の中に食べ物を取り込む際に複雑な唇の動きを必要としますが、これは唇の力が弱くなってしまった人、口を大きく開けられない人たちにはとても困難な動作だそうです。また、通常スプーンで1回にすくえる量は25g だそうですが、これでは飲み込む力の弱い人には多すぎるため「むせ」や「誤嚥」をまねいてしまうこともあるそうです。そこで、このスプーンは、安全で、しかも「おいしい」と感じられる量を計算しつくしたうえで、一回にすくえる量を18gとしています。しかも、伝統に培われた技術でなめらかに研磨され、使う人に優しい感触を伝えます。
この「ライトシリーズ」は、「日本貿易振興機構」(ジェトロ)から「美しさと使いやすさを兼ね備えた伝統工芸品(ユニバーサルデザイン製品)」として、「ユニバーサル・クラフト・ジャパン」に認定され、2005年9月にはパリで開催された「メゾン・エ・オブジェ」(世界最高峰のインテリア関係専門の見本市)に出品されました。伝統技術と、ユニバーサルデザインの発想との出会いが、世界的に評価される名品を生んだのです。
ライトシリーズのスプーン。さまざまな人たちの使いやすさを考慮して、先端の角度については多様なものを生産しています。











