淀澤勝治先生

どうなる?どうする?道徳の授業づくり

道徳が「特別の教科」となることで,授業づくりはどうなるの?
道徳を学ぶ理由から,大切にしたいポイントまで,全4回でご紹介します。

第4回どうなる?どうする?つなげて考える
~日常生活や他教科とつなげることの意義~回答者:淀澤勝治
(兵庫教育大学准教授)


教員——道徳科の学びを他につなげることが,なぜ必要なの?

淀澤淀澤道徳の時間は,学校教育全体の要(かなめ)の時間として位置づいています。教科,特別活動,総合的な学習などの全てを束ねる時間です。ですから,要が欠けると,学校教育という扇全体がバラバラになってしまいます。

道徳の時間には,心を耕すことによって,他教科や日常生活の中で道徳的実践(行為・行動・言葉)に移るように指導しているわけです。いちばん重点的な「心」に焦点を当てて指導し,それを自然に日常生活などに生かしていくということが「つなげる」ことの大切さになっているのです。


教員——具体的にどのようにしてつなげていけばいいの?

淀澤淀澤学校には教科,特別活動,総合的な学習などの年間指導計画があり,いつ,どこで,どんなことをするのかがきちんと整理されています。その中で道徳とどのようにつなげていくかを考えます。

例えば職場体験で,礼儀正しい態度をとらせたいから,道徳でそれを指導するという「安易なセット化」はだめです。そうではなく,後からじわじわと職場体験に生きてくるような道徳の時間を仕組まなければなりません。

例えば,職場体験に行く前に,ジレンマ教材(※)をテーマに話し合いをさせ,行った後には,充実した生活や働くことの意味について考える授業をするというような小単元化によって,スムーズにつなげていくことができます。
  • 『信二の「トライやる・ウィーク」』(『モラルジレンマ資料と授業展開 中学校編 第2集』荒木紀幸 編著,明治図書出版 2005年 所収)

教員——他教科以外に,どんなところに道徳の学びがつながっていくの?

淀澤淀澤今まさに言われている「現代的課題」がそれに当たります。とりわけ,道徳が教科化された理由の一つとしていじめの問題がありますが,そういう課題に道徳の学びをつなげて対応することが必要です。

いじめについて,ありきたりなことを言っても,子どもたちは「そんなこと,もう答えはわかっている」という反応しか返ってきません。ですから,例えば,道徳の授業で,いじめが発生するきっかけとなる「ねたみ」について,子どもたちと一緒に考えるところから始めてはどうでしょうか。

情報モラルの問題としてよく挙げられるのは,子どもたちの携帯依存です。携帯電話に依存した結果,不規則な生活となり,結局失敗してしまうというような具体的例を通して学ぶのもよいでしょう。例えば,リレーの選手になりたい子どもがいて,いつもは絶対的自信があって選手に選ばれているけれども,前の日に布団の中でずっと携帯を使ってしまって,その結果,当日体調を崩して失敗してしまう。そのことでものすごく後悔してしまう。そのような道徳教材を使うことによって,子どもたちがリアルに現代的課題に向き合うことができるでしょう。

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