道徳科の充実を支える学級づくり

「考え,議論する」授業の基盤となる「学級づくり」について,教師の在り方や具体的な工夫をご紹介します。

解説:水登 伸子(みずと・のぶこ)

広島市立広島中等教育学校教諭。広島市中学校教育研究会道徳部会部長を10年以上にわたって務めた。
35年にわたる教師生活の経験から,明るく温かい学級づくりや,それに基づく道徳の授業づくりについて研究している。著書に,『中学校「特別の教科 道徳」の授業づくり 集中講義』『学級づくりがうまくいく!中学校「お題日記&学級通信」』(共に明治図書)などがある。

第2回学級づくりで教師が心掛けたいこと


昔,大学の先生に「すごく真面目で努力をしても,中学生と全くうまくいかない人はどうすればいいのだろうか。」と聞かれたことがあります。そのときは若かったので,「向いていない人はどうにもならない」としか思えなかったのですが,何十年もいろんな先生に接してみると,何かしら変えられる部分はある(のに変えないから失敗する)ような気がします。

まず「自分は先生だ!」と肩肘を張らないこと。生徒に威厳を見せようとして,逆に失敗するのはよくあるパターンで,常に大きな声で品のない言葉で怒鳴ったりしていると,威厳を感じるどころかクラス自体の雰囲気がすさんできて,そんな人が道徳の授業をやったって,生徒の正直な気持ちを引き出すことはできません。また,「女だからバカにされるのかも」「若いからなめられるのかも」などと思うのもやめましょう。生徒が先生を好きになったり尊敬したりする理由は,そんなところにはありません。

ただ,考え方や生き方のセンスは関係してくると思うので,そこを磨くことは大切。何かとアンテナを張って生活をする必要はあります。また,先生が努力している姿を見せるのも大切。先生だってできないことはたくさんあるわけですが「先生も頑張る!」という姿勢を生徒は見ています。そんな先生に「一緒に頑張ろう!」と言われたら「まあ先生も頑張っているからやろうか・・・」と思えるけど,高いところから腕組みをして「頑張れ」と言われても,そんな気にはなれないと思います。(カリスマ部活顧問ならともかく)

でも,いちばん大事なのは「中学生って可愛い」・・・が無理なら「中学生って面白い」と心の底から思うことかな。たとえば,職員室で教員どうしが生徒の話題をするとき,マイナスの部分ばかり話す人がいますよね。誰かが生徒の微笑ましいエピソードや,「なんと△△がこんなに頑張っていた!」という話を紹介しているのに「どうせ長続きはしない」「でも他の場面では全くダメだ」などと否定方向に持って行く先生は,絶対に良い学級はつくれないと思います。

学級は「学級」というものが元々あるわけではなく,一人一人の生徒が集まって「学級」になっているのだから,担任は,一人一人の生徒に興味をもち,少しでも成長が見えたら感心し,「私は君に感心しているのだ」ということをちゃんと伝えないと。生徒を褒めようと思って褒めるのではなく,本気で感心したとき,すぐ口に出すことです。そして,他の生徒にも「○○君がすごい」「△△さんは面白い」ということを知ってもらいたいし,素直にお互いを認める癖をつけてほしい。そうやって日々生活している集団は,必ずあたたかい学級になるはずです。次回はその方法の一端を紹介します。