場面絵を活用しよう

教材の挿絵を掲示して活用することによって,内容理解を深める工夫についてお伝えします。

解説:尾崎 正美(岡山大学教育学部附属小学校教諭)

道徳の授業では,生活経験の異なる子どもたちが教材文の登場人物の生き方について話し合って考えることを通して,自己の生き方についての考えを深めていくことを大切にしています。その際,教材文の内容理解は大前提として必要になってきます。子どもたちの内容理解の大きな助けになるものの一つに教科書の挿絵があります。挿絵は道徳では場面絵ともいい,大きくして黒板に掲示し,子どもの発言や気づきなどを絵の周囲に板書して可視化することによって,学びが深まります。ここでは,場面絵を用いた指導の工夫についてお伝えします。


「雨のバス停留所で」(小学校道徳副読本4年に収録)の場合

この教材に掲載されている場面絵は,4枚あります。活用のしかたを三つ紹介します。

<教材文の状況を把握する>

1枚目の絵で,次の点を押さえます。

  • 「軒下」の意味
  • 「よし子」より前に来た人たちの人数
  • 停留所と軒下の位置関係 など

これらのことが視覚的に示されているので,主人公の置かれた状況への理解が容易になります。

<登場人物の思いを共通理解する>

2枚目の場面絵では,「よし子」と母の表情や様子に注目させます。

二人の表情や様子に注目させることで,後で母の行為を不満に思う「よし子」の思いを理解させたり,母の怒りに気づかせたりすることができます。場面絵によって教材の登場人物の思いを全員が共通理解できます。そして,授業の中心で考えさせたい,「よし子」が自分のしたことを振り返っている場面について,より深く話し合えるようになります。

<教材へ興味をもつ>

4枚目の絵で,母と「よし子」の様子に着目させます。

この絵には,母が何かに対して腹を立てていて,「よし子」は何か悪いことをしてしまったようなばつの悪い様子が描かれています。展開で用いるだけでなく授業の導入で提示して「どんなことがあったのかな」と投げかける使い方もできます。その後に教材提示をすれば,子どもはより興味をもって範読を聞くことができるようになります。

このように,挿絵は細かなところまでよく配慮されて描かれています。教材研究をするときは,教材文だけでなく挿絵も合わせてよく見て,その教材の特徴を考え,場面絵として板書に効果的に使っていきましょう。


「雨のバス停留所で」の挿絵(場面絵)がダウンロードできます。

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※挿絵はA3判です。