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アクティブ・ラーニング Q&A 第4回

アクティブ・ラーニングQ&A

2016年4月19日 更新

冨山 哲也 十文字学園女子大学教授

今、関心が高まる「アクティブ・ラーニング」。先生方からの疑問にお答えします。

冨山哲也 (とみやま・てつや)

十文字学園女子大学人間生活学部児童教育学科教授。東京都公立中学校教員、あきる野市教育委員会、多摩教育事務所、東京都教育庁指導部指導主事を経て、平成16年10月から文部科学省教科調査官(国語)、国立教育政策研究所教育課程調査官・学力調査官。平成20年版学習指導要領の作成、全国学力・学習状況調査の問題作成・分析等に携わる。平成27年4月から現職。第1期<絵本専門士>。

第4回 「言語活動の充実」との違い(1)

Q:これまで言われてきた「言語活動の充実」とアクティブ・ラーニングとは、どのように違うのでしょうか。

A:課題解決的な言語活動を位置づけ、いっそうの指導の工夫をすることが、アクティブ・ラーニングにつながります。

まず、前回、「知識・技能を使って課題を解決しながら思考・判断・表現し、同時に、社会や世界と関わり、人生を豊かなものにしようとする気持ちを育てることを目ざす授業」がアクティブ・ラーニングではないかと述べました。この意味で、言語活動の充実を図る国語科の授業はアクティブ・ラーニングだといえます。

そのことをもとに、「国語科における言語活動の捉え方」「主体的・協働的な言語活動にするために」の、2回に分けて詳しくご説明します。

国語科における言語活動の捉え方

ここで、現在の学習指導要領における言語活動の位置づけを振り返っておきましょう。『中学校学習指導要領解説 国語編』には、次のような記述があります。

「話すこと・聞くこと」、「書くこと」及び「読むこと」の各領域においては、基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題を探究することのできる国語の能力を身に付けることができるよう、内容の(2)に社会生活に必要とされる発表、案内、報告、編集、鑑賞、批評などの言語活動を具体的に例示している。(P7)

ここから整理できるのは、

  1. 言語活動は課題解決を目ざすものである。
  2. (中学校の)言語活動は社会生活に結び付いたものである。

ということです。1について言えば、単に「話す・聞く・書く・読む」ことを言語活動と捉えるのではなく、単元を通して大きな課題を解決することを言語活動と捉えるということです。2について言えば、日常生活や社会生活、他の教科の学習等で取り組まれている言語活動を、国語の学習に積極的に取り入れるということです。これを踏まえて、各学年・各領域の「言語活動例」が明示されているのです。

第一学年に「関心のある芸術的な作品などについて、鑑賞したことを文章に書くこと」という言語活動例があります。光村図書の教科書では、「芸術作品の鑑賞文を書く」という内容で教材化されています。芸術作品の鑑賞文を書くためには、下図に示すような、さまざまな知識・技能が必要になったり、思考・判断・表現する場面が求められたりします。また、身の回りや他教科の授業における鑑賞文についても関心を高めることが期待できます。これらを効果的に位置づけている授業は、すでにアクティブ・ラーニングになっているといえましょう。

芸術作品の鑑賞文を書くために必要な知識・技能と、思考・判断・表現の場面
芸術作品の鑑賞文を書くために必要な知識・技能と、思考・判断・表現の場面

 


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