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第3回 子どもの英語力に差があるのですが…。

小学校英語 お悩み相談室

2017年10月18日 更新

小泉 仁 東京家政大学教授

2020年度から本格化される、小学校での英語教育。先生方のお悩みに、小泉先生がお答えします。

4年生くらいになると、子どもたちは、自分たちの間に英語力の差があることを意識し始めるようですね。でも、その「差」について、教員は気にしすぎることはないというのが、私の考えです。

英語が得意な子には、モデル役を務めてもらい、クラスをリードする役割を与えてはいかがでしょうか。例えば、クラスメートが上手く発音できなかったときに、お手本になってもらうのです。中学校では、英語が得意な生徒と苦手な生徒を、あえてペアにして練習させる先生もいるのです。

いっぽうで、深く考えるこども、豊かな発想をする子どもがいます。例えば、“What's the weather today? ”と聞くと、たいていは、“Cloudy”、“Sunny”などと答えますが、“Cloudy”と答えたあと、「先生、『あとで雨になる』って言いたいんですけど」と質問してくる子どもがいます。英語が得意でない子どもからそういう発想が出てきたらチャンスです。「『あと』ってどう言う?」とクラスに質問を向ければ、英語が得意な子の出番が作れます。また、得意分野で活躍の場を与えるのもいいと思います。絵を描くのが得意なら、英語の紙芝居を作る活動で絵を描いてもらう。子どもたちのいろいろな面を知っている小学校の先生であれば、他の教科と同様、子どもたちを上手に導けるはずです。

時に、英語が得意な子どもは、多くの単語を知っていることを自慢したくなるものですが、相手がわかるように話すことも大事だということを教えてください。学習指導要領でも、「他者に配慮しながら」コミュニケーションを図ることを目標に掲げています。友達のことを理解する力、相手がわかる言葉で話す力、ジェスチャーなど、言語以外の伝達方法を駆使する力──こういったものも含めて「言葉の力」なのだということを、ぜひ子どもたちに伝えていただきたいですね。

Illustration: 小林マキ

本連載は、広報誌「英語教育相談室」にも掲載されています。本誌の内容はこちらから。

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小泉 仁(こいずみ・まさし)

東京家政大学教授。元・文部科学省初等中等教育局教科書調査官。日本児童英語教育学会(JASTEC)会長。一般財団法人語学教育研究所理事。『COLUMBUS 21 ENGLISH COURSE』の編集委員を務める。

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