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第4回 話し合い指導(2)―進行、参加のしかた―

そがべ先生の国語教室

2015年6月29日 更新

宗我部 義則 お茶の水女子大学附属中学校副校長

30年の教師生活で培った豊富な実践例をもとに、明日の国語教室に役立つ授業アイデアをご紹介します。

第4回 話し合い指導(2)―進行、参加のしかた―

私の授業では、全体で議論する前に必ずと言ってよいほどペアまたは学習班(4~3人)での話し合いを行います。

ペアの場合は、双方がまさにピア(対等)な関係。きっかけを与えるために、「右の人、意見を述べてください。終わったら、左の人は、ここはよいと思う点を一つ指摘した上で自分の意見を述べてください」などと指示することもありますが、基本は特別な役割はつくりません。
隣どうしの話し合いを始める際、同僚のT先生は「隣どうしで話し合ってみましょう。はい、こんにちは」と声をかけます。すると生徒たちもお互いに向き合い、「こんにちは!」と挨拶してから課題に対する話し合いを始めます。これは隣どうしのおしゃべりでなく、「公の対話だ」という意識をもたせて、しっかり課題について話し合っていく上でとても効果的です。私もまねさせてもらっています。

学習班の場合は、必ず「進行役」を設定します。
進行役はその日の話し合いを仕切ります。毎時間、時計回りに一人ずつ回します。

話し合いの前に進行役になった人を集め、次の点をガイドします。

1. ゴール(話し合って何を達成するか)
2. 手順(まず……する、次に……する)
3. 進行のポイント
4. 話し合いの時間(討議終了の時刻)

画像、授業風景
話し合いの前に進行役を集め、進め方をガイドする。

進行役は、学習班にもどって最初に、「今日の話し合いの進め方を説明します。ゴールは……」とメンバーに説明して、手順に沿って話し合いを始めます。進行役にだけ伝えることで、リーダーと参加者の関係が自然に成立します。

「3. 進行のポイント」は、例えば、「全員の発言を引きだすように指名しよう」「違う意見の人がいたらその意見の考え方をみんなで理解するために、質問したりもっと話してもらったりしよう」……などと、そのときどきによって変えます。

一つルールがあります。「進行役の指示は天の声」というものです。
進行役は、学習班の話し合いの仕切りの全権をもちます。進め方も、指名も、進行役がリーダーとして決めて構いません。発表の際にも、進行役が手を挙げて、教師の指名を受けたら、「はい、うちの班は○○さんが発表します!」とやってよい。このルールには最初はみんな「え~!そんなのあり?」と大笑い。「ただし、あまりに横暴な進行や天の声の濫用で、話し合いが上手く進まない場合は、先生を呼びなさい!神の裁断を下します!」などと冗談交じりに添えながら、あくまで民主的な話し合いを進めることを進行役の役目とします。

話し合いは協働・協調作業。目的に沿っていかに進行役を助けつつ、自分たちの目標を達成するか。そんな参加のしかたを学んでほしいと思うのです。

次回も引き続き、話し合い指導についてご紹介します。

宗我部義則(そがべ・よしのり)

1962年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学附属中学校主幹教諭。お茶の水女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師。平成20年告示中学校学習指導要領解説国語編作成協力者。編著書に『群読の発表指導・細案』(明治図書出版)、『夢中・熱中・集中…そして感動 柏市立中原小学校の挑戦!』(東洋館出版社)、『中学校国語科新授業モデル 話すこと・聞くこと編』(明治図書出版)など。光村図書中学校『国語』教科書編集委員を務める。

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