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第10回 みんなが話したくなる「スピーチ」の工夫 ―中・高学年(発表)編―

青山先生の国語教室

2018年5月2日 更新

青山 由紀 筑波大学附属小学校教諭

子どものモチベーションをアップさせる、国語の授業アイデアをご紹介します。

第10回 みんなが話したくなる「スピーチ」の工夫
―中・高学年(発表)編―

前回は、スピーチの準備のための授業を紹介しました。今回は、児童の実際のスピーチの様子をお伝えします。

スピーチの時間はまとめてとるのではなく、国語の授業の中に帯学習として位置づけ、毎時間2名の児童が行うことにしました。本時は、2回目のスピーチの時間です。教師は発表者のアシスタントになり、書画カメラを操作します。

―筑波大学附属小学校4年 児童のスピーチ―

青山 それでは、今日はAさんのスピーチから始めましょう。発表するとき、原稿は持ったままでかまいませんが、ニュースキャスターのようにちらちら見る程度で読めるといいですね。私は書画カメラを操作するので、新聞記事を映すタイミングを合図してくださいね。

(持ち時間の3分間をタイマーにセットしてスタート)

発表者A 今日は朝日小学生新聞の11月3日に載っていた広辞苑について紹介します。
日本語の辞書の代表的な存在で、岩波書店が出している「広辞苑」が来年1月に10年ぶりに新しくなります。それはこのような辞書です。

(教師が書画カメラで新聞記事を提示)

発表者A 新たに辞書に載るようになった言葉もあれば、説明が一部書き換えられたり加えられたりした言葉もあります。来年1月に発売される第7版には、新たに1万語が加えられ、計約25万語が収められています。新たに加わった言葉は、約10万語の中から、よく使われているか、重要度をもとに絞り込みました。岩波書店の担当者によると、選ぶポイントは、これから定着するかどうかです。いっときの流行で終わってしまうような言葉はダメだそうです。
今回は、「仮面ライダー」「東京スカイツリー」「スマホ」などが加わりました。

(新聞の該当箇所を書画カメラで提示)

発表者A 今は、言葉の意味をインターネットなどで簡単に調べることができますが、広辞苑は、紙の辞書にこだわり続けています。紙の辞書には、紙の辞書にしかないよさがあります。

――発表者の感想

発表者A 私も本屋さんで広辞苑を手に取ってみました。とても分厚くて重たいことにびっくりしました。値段は1万4千円くらいで、そのことにもびっくりしました。今はインターネットでなんでも調べられる時代ですが、お父さんやお母さんが子どものころは、ひと家族に一冊、広辞苑があったそうです。広辞苑には、カタカナ語や、スマホとか、毎日使っている言葉が収められています。ふつうの辞書より詳しく、百科事典のようだなと思いました。
これで私の発表を終わります。

青山 新しく加わった言葉をもう一度紹介してくれる?

(Aさんは、書画カメラに映っている新聞紙面を棒で指しながら紹介を始める)

画像、スピーチの様子

――質問タイム

児童 広辞苑はどういうところで売っているんですか?

発表者A 普通の本屋さんで売っています。

児童 広辞苑の厚さは何センチですか。

発表者A 約8センチです。

(聞いている児童からは、「えー」という驚きの声)

発表者A ほかにも何か質問はありますか。

児童 発表を聞いていたら、広辞苑を使ってみたくなりました。これからはスマホで調べないで、広辞苑で調べようと思います。

広辞苑に魅力を感じた子どもたちが多かったようで、質問や感想はこのあとも1~2分続きました。
二人目のスピーチが終わったところで、振り返りを行いました。

青山 今日発表したAさんとBさんは、前回発表した人たちの反省点をきちんと生かしてくれていたと思います。どんなところかわかりましたか。

児童 最初に、いつのどんな記事なのかを言っていました。

青山 そうですね。はじめに日付や見出しを話してくれたので、聞き手の人たちは、どんな話題なのかがわかり、スピーチの内容がつかみやすくなりましたね。
それから、もう一つ工夫していた点がありました。難しい言葉を易しい言葉に言い換えていましたね。特に大人用の新聞の場合、記事をそのまま読み上げると伝わりにくいことがあると思います。低学年の授業でスピーチをやると、「○○ってどういう意味?」といった、言葉の意味に関する質問ばかり出てしまいますが、今日のスピーチでは、そういう質問は一つもありませんでしたね。言い換えがとてもうまくできていたと思います。さすが4年生!

ところでみなさん、せっかく発表したのに、誰も反応してくれなかったら寂しいですよね。でも今日は、AさんのスピーチにもBさんのスピーチにも、たくさんの質問や感想が出ましたね。どうしてだと思いますか。

発表者が自分なりの感想をしっかり言うことができていたので、みんなも意見を言いやすくなったのかもしれないですね。


今回は2回目のスピーチでしたが、聞いている子どもたちからは、ここに紹介した以外にも感想や意見がたくさん出ました。それらの感想や意見を引き出していたのは、発表者のしっかりした原稿づくりです。話し手・聞き手の双方が充実した学習になるよう、感想や意見が大切だということをクラス全体で押さえておきましょう。(談)

青山由紀(あおやま・ゆき)

東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。日本国語教育学会常任理事。全国国語授業研究会常任理事。著書に『古典が好きになる』(光村図書)、『板書 きれいで読みやすい字を書くコツ』(ナツメ社/樋口咲子共著)、『子どもを国語好きにする授業アイデア』(学事出版)などがある。光村図書小学校『国語』教科書編集委員を務める。

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