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教科書の言葉 Q&A 第12回

教科書の言葉 Q&A

2016年1月15日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第12回 「一日」は「いちにち」? それとも「ついたち」?

Q:「一日」は、「いちにち」と読む場合と「ついたち」と読む場合がありますが、どのように読み分けるのですか。

「一日」の読み方には、次の3通りがあります。

◇いちにち
「一日、二日、三日、四日……」と日数を数えていくような場合や、24時間で表される一日(朝から夕方まで)を表す場合などに使われます。

◇ついたち
月の第1日目を表す語で、「一月一日」のような場合に使われます。月の第1日目を表す読み方として「いちにち・いちじつ」を当てる場合もありますが、現在いちばん自然に使われているのは「ついたち」です。

◇いちじつ
現在ではあまり日常的に使わなくなりましたが、わずかに「一日の長」「一日千秋」などの表現として使われます。ただし、これらの語句は同時に「いちにち」とも読まれます。

以上、読み方の使い分けについて述べました。
すでにお気づきかもしれませんが、漢字「一」には「いち」、「日」には「にち」「じつ」という読み方がありますが、「ついたち」は「一」「日」という二つの漢字が結び付いたときの特別な読み方です。
このコーナーの第2回でも一部をご紹介しましたが、平成22年に改訂された内閣告示「常用漢字表」には「本表」の他に、特別な読み方をする116語を示した「付表」があり、「ついたち」は「付表」に揚げられています。これと同様に、月の第20番目の日を指す「二十日(はつか)」も特別な読み方として「付表」に揚げられています。
「付表」に挙げられている特別な読み方をする116語は以下の通りで、*の付いている33語は小学校で学習します。

明日(あす) 小豆(あずき)   海女・海士(あま)  硫黄(いおう) 意気地(いくじ)
田舎(いなか)   息吹(いぶき) 海原(うなばら) 乳母(うば) 浮気(うわき)
浮つく(うわつく) 笑顔(えがお) 叔父・伯父(おじ) *大人(おとな) 乙女(おとめ)
叔母・伯母(おば) お巡りさん(おまわりさん) お神酒(おみき) 母屋・母家(おもや) *母さん(かあさん) 
神楽(かぐら) 河岸(かし) 鍛冶(かじ) 風邪(かぜ) 固唾(かたず)
仮名(かな) 蚊帳(かや) 為替(かわせ) *河原・川原(かわら) *昨日(きのう)
*今日(きょう) *果物(くだもの) 玄人(くろうと) *今朝(けさ) *景色(けしき)
心地(ここち) 居士(こじ) *今年(ことし) 早乙女(さおとめ) 雑魚(ざこ)
桟敷(さじき) 差し支える(さしつかえる) 五月(さつき) 早苗(さなえ) 五月雨(さみだれ)
時雨(しぐれ)  尻尾(しっぽ) 竹刀(しない) 老舗(しにせ) 芝生(しばふ)
*清水(しみず) 三味線(しゃみせん) 砂利(じゃり) 数珠(じゅず) *上手(じょうず)
白髪(しらが) 素人(しろうと) 師走(しわす) 数寄屋・数奇屋(すきや) 相撲(すもう)
草履(ぞうり) 山車(だし) 太刀(たち) 立ち退く(たちのく) *七夕(たなばた)
足袋(たび) 稚児(ちご) *一日(ついたち) 築山(つきやま) 梅雨(つゆ)
凸凹(でこぼこ) *手伝う(てつだう) 伝馬船(てんません) 投網(とあみ) *父さん(とうさん)
十重二十重(とえはたえ) 読経(どきょう) *時計(とけい) *友達(ともだち) 仲人(なこうど)
名残(なごり) 雪崩(なだれ) *兄さん(にいさん) *姉さん(ねえさん) 野良(のら)
祝詞(のりと) *博士(はかせ) 二十・二十歳(はたち) *二十日(はつか) 波止場(はとば)
*一人(ひとり) 日和(ひより) *二人(ふたり) *二日(ふつか) 吹雪(ふぶき)
*下手(へた) *部屋(へや) *迷子(まいご) *真面目(まじめ) *真っ赤(まっか)
*真っ青(まっさお) 土産(みやげ)  息子(むすこ) *眼鏡(めがね) 猛者(もさ)
紅葉(もみじ) 木綿(もめん) 最寄り(もより) 八百長(やおちょう) *八百屋(やおや)
大和(やまと) 弥生(やよい) 浴衣(ゆかた) 行方(ゆくえ) 寄席(よせ)
若人(わこうど)        

次回は、「とる」の漢字の使い分けについてお答えします。

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