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教科書の言葉 Q&A 第14回

教科書の言葉 Q&A

2016年3月10日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第14回 漢字の正しい書き方とは?

Q:「返」の四画目はとめる? はらう? 「弟」の最終画の始点は出る? 出ない?
これらは、どう書くのが正しいのでしょうか。

結論から言うと、上記の二つはどの書き方も間違いではありません。
漢字には、「許容の範囲」というものがあります。活字の場合、用いられている書体(活字のデザイン)の種類によって、「とめる」のか「はねる」のか、「交わる」のか、「交わらない」のかなど、字形が微妙に異なることがあります。文化庁告示「常用漢字表」によれば、この種の差異はデザインの違いによるものであり、字体のうえからは問題にする必要のない許容の範囲であるとされています。また、活字と手書き文字の間の差異についても、同様に許容の範囲とされています。(中には、「剥」と「剝」のように字体の違いに及ぶものもありますが、これらもどちらで書いても「差し支えない」とされています。)
つまり、この許容の範囲から解釈すると、別の文字と見分けられないものや、漢字の構成を無視したバランスのものでないかぎり、間違いであるとはいえないということになります。

「学習指導要領解説編 国語」にも、「『学年別漢字配当表』に示された漢字の字体を標準として指導することを示している。しかし、この『標準』とは、字体に対する一つの手掛かりを示すものであり、これ以外を誤りとするものではない。」とあります。

平成28年2月29日に、文化庁より「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(案)が出されました。こちらには、字体・字形についての考え方が詳しく説明されており、全ての常用漢字について字形の例が載っていますので、ぜひご覧ください。

「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(案)

子どもたちが漢字を学ぶ際に、初めから複数の字形が示されていると混乱を招くかもしれません。最初は、例えば教科書体(手書き文字に近い書体)のような標準形で学習し、書き慣れてくる中で自然発生的に標準形以外の形が見られるようになったときに、そのルールを知っていくのがよいでしょう。

次回は、中学校で学習する漢字についてお答えします。

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