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教科書の言葉 Q&A 第15回

教科書の言葉 Q&A

2016年4月8日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第15回 中学校では、どれぐらい漢字を勉強するの?

Q:中学校では、常用漢字表に挙げられている漢字を全て読み書きできるようにならないといけないのですか。

第6回(「小学校では、どれぐらい漢字を勉強するの?」)の冒頭においても触れていますが、「常用漢字表」の本表に挙げられている2,136字のうち、小学校で学習するものは「学年別漢字配当表」として示されている1,006字です。中学校では、それらの漢字に加えて残りの1,130字を「読む」こと、および学年別漢字配当表の漢字を「書き」、「文や文章の中で使う」ことが「中学校学習指導要領」に記されています。具体的には、「各学年の目標及び内容」として次のように記されています。

第1学年
(ア) 小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え、その他の常用漢字のうち300字程度から400字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表の漢字のうち900字程度の漢字を書き、文や文章の中で使うこと。

第2学年
(ア) 第1学年までに学習した常用漢字に加え、その他の常用漢字のうち350字程度から450字程度までの漢字を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字を書き、文や文章の中で使うこと。

第3学年
(ア) 第2学年までに学習した常用漢字に加え、その他の常用漢字の大体を読むこと。
(イ) 学年別漢字配当表に示されている漢字について、文や文章の中で使い慣れること。

以上のように、各学年(ア)では中学校漢字1,130字について、(イ)では「学年別漢字配当表」に示されている1,006字について述べられています。小学校とは異なり、それぞれの漢字を何年生で学習するといった決まりはありません。各学年で学習する漢字の数が定められているのみです。

また、(ア)中学校漢字については、上記のように「読む」ことが目標となっており、必ずしも全ての常用漢字を書けるようにしなければならないという決めではありません。しかしながら、漢字を読めるようになるための手段として「書き」、「文や文章の中で使う」ことも重要です。

光村図書平成28年度版中学校『国語』では、「読むこと」教材の文章中や、教材の後の「漢字を確認しよう」、さらに「書くこと」教材や「漢字」「言葉」の教材などの中で新出漢字を提出しています。ただドリル的に漢字を学習するのではなく、文章を読んだり書いたりする中で、実際に使用することによりそれぞれの漢字を学んでいける構成となっています。

いっぽう、(イ)で触れられている「学年別漢字配当表」に示されている漢字については、最終的に1,006字全てを書き、文や文章の中で使い慣れることが目標となっています。

光村図書平成28年度版中学校『国語』では、「読むこと」教材の後の「漢字を確認しよう」や巻末の「漢字に親しもう」など、小学校で学習した漢字を正確に書けるようにするための練習を設けています。1・2年生の「漢字の練習」では、小学校6年生で学習した漢字の練習問題を取り扱っています。

学習指導要領では、生徒の発達段階や実態、日常生活や各教科の学習の中で多く使われる漢字などに配慮することが求められています。同じく指導に際しては、文脈に即して漢字を書くことに注意して学習させることに重点が置かれています。以上のような点を考慮し、文章の中での漢字の書き取り以外にも、意味や用法に着目して熟語を完成させるものや、偏旁冠脚、同音異字など着目させるようなさまざまな種類の問題をそろえています。

また、書写との関連を目的として、3学年全てで「小学校六年生で学習した漢字一覧」を硬筆文字で示し、読みや筆順とともに確認できます。

画像、教科書紙面
中学校『国語』1年P257「漢字の練習」(左)と中学校『国語』1年P261「小学校六年生で学習した漢字一覧」(右)

次回は、「ヶ」の使い方についてお答えします。

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