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教科書の言葉 Q&A 第21回

教科書の言葉 Q&A

2016年11月7日 更新

教科書編集部 光村図書出版

教科書にまつわる言葉へのさまざまな疑問について、編集部がお答えします。

第21回 横書きの文章の読点は 「、」? それとも「,」?

Q:横書きの文章には、「、」が使われているものと「」が使われているものがあるようです。
読点の使い方として、どちらが正しいのでしょうか。

一般の表記においてはどちらも間違いではありませんが、小社の教科書では、横書きの場合は「」に統一しています。【資料1】

【資料1】平成28年度版 光村図書中学校『国語』1年P131

句読点の使い方について定めたものとして、昭和21年に文部省教科書局調査課国語調査室が作成した「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」(※1)があります。これは、文部省(当時)が、同省で編集または作成する各種の教科書や文書などの表記を統一するための基準として定めたものです。
この中の、「(二)主として横書きに用ひるもの」の項に「テン又はナカテンの代りに、コンマ又はセミコロンを適当に用ひる」と記されています。

また、昭和27年に各省庁の事務次官に向けて通知された「公用文作成の要領」(※2)というものがあります。これは、「公用文を、感じのよく意味のとおりやすいものとするとともに、執務能率の増進をはかるため」に定められたものです。ここには、横書きの読点について、よりはっきりと次のように記されています(注2参照)。

第3 書き方について

注1. 文の書き出しおよび行を改めたときには1 字さげて書き出す。

2. 句読点は、横書きでは「,」および「。」を用いる。
  事物を列挙するときには「・」(なかてん)を用いることができる。

3. 同じ漢字をくりかえすときには「々」を用いる。

教科書では、これらの資料等に基づいて、横書きの文章においては「」を使用しています。

しかし、これらの資料はあくまでも「公用文」の表記の基準となるものであり、個人が文章を書くときの表記にまで強制力をもつものではありません。したがって、横書きの文章で「、」を使っても間違いではなく、「、」と「」のどちらを使うかは個人の裁量に任されているといえるでしょう。

なお、小社の小学校国語教科書において、横書きの書き方を説明しているページでは、「、」と「」のどちらを使ってもよいように「(、)」という示し方をしています。【資料2】

【資料2】平成27年度版 光村図書小学校『国語』1年上P124
 
 

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