ベスト・エッセイ2016
日本文藝家協会編
光村図書出版
2015年に新聞・雑誌などで発表されたエッセイを精選し,まとめあげたエッセイ集です。
担当編集者が,『ベスト・エッセイ2016』の魅力をご紹介します。
2015年に新聞・雑誌等で発表された中から,選りすぐりのエッセイを77篇収録しました。誰もが経験したことのある「あるある」的な話題から,人々の優しさに心がほっこりとするようなお話,そして2015年に逝去した著名人への追悼文など,文章のプロフェッショナルならではの機知に富んだエッセイの数々を,どうぞお楽しみください。
『ベスト・エッセイ2016』のトップを飾るのは,又吉直樹さんの作品「芥川龍之介への手紙」。「そもそも,道徳というものを根底から疑っていました。」という,いささかドッキリするような書きだしで始まります。「芥川への手紙」という形式をとりながらも,又吉さんの創作に対する考え方や思いを存分に感じ取ることができます。子どもの頃のやりきれないエピソードを交えながら,芥川龍之介の言葉と出会い楽になったと感謝するいっぽうで,「不純な動機から出発する芸術にも面白いものが誕生する可能性を感じますが,間違いでしょうか?」と突きつけます。このあたりも又吉さんの作品観が表れていて興味深いところです。
また,又吉さんのデビュー作『火花』のタイトルのもととなったと思われる芥川の文章も引用されており,又吉ファンには(もちろん,芥川ファンにも!)たまらない佳作となっています。
この他にも,「夏,何してた?」という周囲からの質問(夏裁判)におののく朝井リョウさんの作品「夏裁判」,荒俣宏さんによる“日本の妖怪大将”水木しげるさんへの追悼文「[希少なる存在]の意味」など,読み応えのある作品が目白押しです。
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