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7 生徒の発言を引き出す上手な聞き方

はじめよう、対話による鑑賞の授業

2015年1月22日 更新

美術における鑑賞を通した言語力育成が求められています。全国各地の学校や美術館で行われる美術鑑賞の授業の形として、先生や学芸員の解説を一方的に聞くのではなく、生徒自身が主体的に発言をし、対話をしながら美術作品に対する見方や価値意識を深めていく「対話による鑑賞授業」が注目されてきています。

生徒の発言を引き出す上手な聞き方を教えてください

ここでは基本的なものを3つ紹介します。 

(1)うなずき
本音を引き出すためには、相手を話にのせていくことが大切です。そのためには話のリズムをつくっていくことも必要です。
たとえば、発言者に向かって「うん」と首を縦に振ってうなずくことは発話を促進する効果があります。
うなずきには相手の発言を妨げずに自分の関心を伝えるたり、発言を承認する働きがあります。うなずいて聞いてくれる相手に対して、人は好意的な感情をもつことや、また、うなずいた本人自身も相手を好意的に見るようになると言われています。
単純なしぐさですが、うなずきによって対話は促されるのです。

(2)ミラーリング
話している生徒と表情や動作、発話のリズムなどを合わせることです。
笑顔で話す生徒には笑顔で聞き、真剣な表情の生徒には先生も真剣な顔で聞く。ゆっくりと話す生徒にはゆっくりと返答し、大きな声の生徒には先生も「そうだよね」と大声で返す。そうすることで相手は聞いてもらっていることを実感し、先生が自分を理解してくれていると感じるのです。

(3)繰り返し
生徒の発言を先生が繰り返すことです。自分の発言を繰り返されることによって、生徒は話を聞いてもらっている手ごたえを感じているはずです。
繰り返しによって、「先生はあなたの意見を聞いているよ」というサインを送っているのです。
一方、繰り返すためには発言をしっかり聞かなくてはなりません。長々と話す生徒に対しては先生自身の聞く能力も要求されます。また、先生が発言のポイントを繰り返すことは、他の生徒にとっても意見がよくわかり有意義です。声の小さな生徒や早口で聞き取りにくい生徒の発言を繰り返すことは、特に効果的です。 

うなずきもミラーリングも繰り返しもすべてカウンセリングの基本でもあるのですが、こうした行為により相手と同一化することによって信頼感が生まれ発話が促されます。

関連書籍

対話による美術鑑賞の決定版!
『風神雷神はなぜ笑っているのか 対話による鑑賞完全講座』 (上野行一 著)

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