みつむら web magazine

「梁と柱」と48

図書館の部屋づくりのポイント

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

このコーナーでは、“そもそも、学校図書館の部屋をつくるには、どうすればいいのか”という、部屋そのもののつくり方について説明します。つまり、いわゆる司書の仕事ではなく、インテリアコーディネーターや、内装屋(本のことがよくわかっている内装屋)になるためのコツを紹介します。

今回から、図書館の部屋全体のつくり方をご説明したいと思います。

まず、部屋の入り口(子どもたちが入ってくる場所)に立ってみてください。子どもたちがそこからぐるっと見渡して、どこになにがあるのか、ぼんやりとわかる…ためには、部屋が大まかにいくつかのパーツに分かれていなければなりません。いちばん大きな分類は“エンターテイメント”と“お勉強”でしょう。

それを部屋のどこで分けるかを考えますが、そのときのポイントは、梁と柱、です。その部屋にはいくつ梁がありますか?そして、梁の下には柱があるでしょう。人間はそういう突起物を見ると、無意識に、そこで空間を区切るものです。
仮に、長四角の部屋で、両側にそれぞれ三つずつ、柱があるとしましょう。もちろん、天井には横に梁が三本走っているはずです。そうすると、その部屋はぼんやりとですが、四つのパーツに分けられる、ということになります。(図1参照)

図1
図1

なので、そのパーツごとに、ここは○○の部屋、というのをつくっていくわけですが、そのためにはまず、どんな分類があるのかを知らないと作れませんね。
四つあるのなら、たいていは突き当たりが“エンターテイメント”で、高学年向けの物語を置きます。したがって、そこのまわりには絵本と7番の芸術系、がくるわけです。

そうして、そこにいちばん近い二番目の部屋には、自然科学のうち、生物、がきます。(図2参照)なぜかというと、自然科学は勉強系ではなく、お遊び系の本だからです。少なくとも、小学校ではー。

図2
図2

図2の文学と芸術の書架は、棚板が下図のように固定されている場合、上の4段に文学、下の2段に芸術を入れます。 

図3
図3

ここで一つポイントがあります。
生物は必ず高段書架でなければなりません。
なぜかというと、生物“48”(よんはち、と読みます)の棚は、一段ごとにさらに細かい分類によって内容が変わるからです。高段だと、全体を見渡せるので、違うものがたくさん入っている書架に向くのです。これが文学ならば、内容は同じですから、低段書架でもいいわけですね。
ただし、突き当たりの書架にしか、A4が入る本棚がない場合は、突き当たりの半分が48、半分が文学になります。
小学校の図書館の要は、“48”で、ここさえちゃんとすれば、あとはなんとでもなるくらい、48は重要です。
生物の本のほとんどがA4サイズの本なので、図書館を作り始めるときに一番先に決めることは、ぐるっと見渡して、48をどこにもってくるか(できれば四本)ということなのです。
なにせ、いまの学校は、まだ昭和の名残で、文学サイズの書架がほとんどですから、まず、48をどこに入れるかを決めてから始めます。

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

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