みつむら web magazine

部屋を明るくする工夫

図書館の部屋づくりのポイント

2015年1月1日 更新

赤木かん子 児童文学評論家

このコーナーでは、“そもそも、学校図書館の部屋をつくるには、どうすればいいのか”という、部屋そのもののつくり方について説明します。つまり、いわゆる司書の仕事ではなく、インテリアコーディネーターや、内装屋(本のことがよくわかっている内装屋)になるためのコツを紹介します。

写真1
写真1

先日、愛媛県新居浜市の船木小学校の改装をしました。

この学校は(ほかもだいたい同じようですが)部屋の中に高段書架が何列も立ち並び、しかも基色が茶色なので、狭くて暗い雰囲気になっていました。そのうえ部屋の突きあたりに、天井まで高さがある小型の本しか入らない本棚が一面にあり、しかも作り付けで動かすことができません。どうしようかと考えたあげく、その作り付けの書架の前に、小学校にしては高すぎるその高段書架を向き合わせて平行に並べ、内側を書庫にしました。(写真1)

写真2
写真2

もちろん、天井から書架の上までの間は見えてしまうので、メートル100円の生地を買ってきて、書架のてっぺんのところからガンタッカー(ホッチキスの親分みたいな道具です)でつけました。(写真2)
新しく配置した書架の前には絨毯を引き、48(よんはち)の生き物を置きました。だって、この空間はエンターテイメントだもんね。

写真3
写真3

窓際書架の上には、書架が足りないという理由で一段の書架を乗せてありましたので、それをはずし、ペンキを塗って、椅子&書架として絨毯まわりに置きました。(写真3)
絨毯にはぬいぐるみ(できるだけ大きいもの、男子に人気です)も置き、机にはテーブルクロスをかけました。

写真4
写真4

トータルコーディネートを考えないといけませんが、色を入れると部屋は明るくなります。面積の大きいカーテンとテーブルクロスは、部屋のコーディネートを考えるうえでキーポイントとなります。色合わせをするときは、どうしても変えられないもの、動かせないもの、を芯にして考えます(たいていは、椅子の背もたれですね。ここがピンクだったりしたら、目立たなくなるようにデザインします)。船木小学校の場合、塗れるところは全部白ペンキを塗りました。(写真4)
部屋は見違えるように明るくなり、今は毎日200人以上の子どもたちが来てくれるようになりました。

舟木小学校 図書室 全体図
舟木小学校 図書室 全体図

A:壁付き、作り付けの書架。高さは天井まである。
  (A4書籍は入らない)
B:A4書籍が入る5段書架。この4本の書架に、“48(よんはち)”
  (生物)を全部入れる。
C:A4書籍が入る2段書架。絵本を入れる。
D:2段・両面・2連書架。カーペット側には絵本、外側には恐竜・乗り物・クイズを入れる。
E:窓のところにあった1段2連書架。(用務員さん製作)ペンキを塗って、
座布団を置いて、“椅子&書架”にしたところ、6年の男子に人気!
F:国語

赤木かん子

児童文学評論家。長野県松本市生まれ。1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介、書評などで活躍している。主な著書に『読書力アップ!学校図書館のつくり方』(光村図書)などがある。

赤木かん子公式ウェブサイト

関連記事

記事を探す

カテゴリ別

学校区分

教科別

対象

特集