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幡井 理恵 先生 幡井 理恵 先生

昭和女子大学附属昭和小学校専任講師

2004年より小学校英語講師を務める。
日本児童英語教育学会(JASTEC)関東甲信越支部運営委員。
各地の小学校教員向けの講座やセミナーで講師を務めている。

菅井 幸子 先生 菅井 幸子 先生

株式会社イーオン 東京本社法人部
学校教育課 教務コーディネーター

1998年からイーオンで英語講師を務めており,現在,全国の教育委員会や学校で,
教員向けの英語指導法や英語力アップの研修などを行っている。

キーワード解説 キーワード解説

安達 理恵 先生 安達 理恵 先生

愛知大学地域政策学部教授,博士(学術)。専門は外国語教育,異文化間教育。
児童の英語に対する動機づけや苦手意識をなくすためのCLIL(内容言語統合型学習)の研究をしている。

子どものスキル(4技能5領域) 子どものスキル(4技能5領域)

「聞くこと」に関すること

  • Q1

    リスニングの際,子どもたちは英語をほとんど聞き取れません。どうすればよいでしょうか。

     まずは,子どものレベルに合っていないことを授業の中で取り上げていないか,見直してみましょう。子どもたちが聞いてイメージできない英語を浴びせ続けても,「学び」にはなりません。ある程度予想がつく内容を聞かせるという前提で,授業を組んでいきましょう。
     教科書のリスニング問題に挑戦する場合は,聞く目的を意識させて,予備情報やヒントを投げかけてから聞かせるようにしましょう。

     授業中にALTの指示がほとんど聞き取れないという場合は,スピードや使う表現・語彙を子どもの実態に合わせて調整できていないのかもしれません。ただし,この場合は,聞き取れないことをあまり心配しすぎないでください。1回ではわからなくても,2回,3回と繰り返すうちに自然と慣れてくるものです。

     子どもたちの反応が悪いと,すぐに日本語で言い直したくなりますが,それでは子どもたちが理解するための努力をしなくなってしまいます。重要なのは,先生が諦めないこと。アプローチのしかたを変えながら,わかってもらう努力をすることが大切です。

     例えば,わからないときは“One more time.”なり,“I don’t know.”なり,英語で反応するように促してはどうでしょうか。子どもにすんなり通じた表現や使用場面を書き留めていき,そのストックをどんどん増やしていくのもいいですね。

「読むこと」に関すること

  • Q2

    小学校卒業時には,どのくらいの英文を読めるようになっていたらよいのでしょうか。

     小学校の段階では,初見の英文を読める必要はありません。私たち教師は,自分たちの学習経験から,「英語の授業=英文を読む」というイメージをもっていて,無意識のうちにそれにとらわれてしまっているのではないかと思います。教材を見て,読んで,意味がわかって初めて理解できたと思いがちですが,決してそうではありません。

     小学校の英語では,「読む」ことは必ず「聞く」こととリンクしています。小学校の段階で重要なのは,教材にはいったい何が書いてあるのか,音ベースで大まかな内容を理解できるということ。そしてそれを文字で見るという経験を与えてあげることだと考えればよいと思います。

  • Q3

    英語に読み仮名を振るのはよいのでしょうか。

     日本人には,英語の片仮名読みという暗黙のルールがあって,誰がルール化しているわけでもないのに,なんとなく共有されていますよね。便利な一方で,英語の音声を再生するうえでの弊害になっています。重要なのは,正しい音をたくさん聞いたうえで,まねができるということです。つまり,できるだけ頭の中に音のデータベースを増やしたほうがいいということです。

     だから,先生が読み仮名を振るのはおすすめできません。ただし,子どもが記憶に残しておきたくて書いているものは,否定しないでください。残したい気持ちはとても大切だと思います。

     例えば,大人が「ワット・ドゥー・ユー・ウォント」と書くところを,子どもは聞こえた雰囲気のまま「ワッドゥユワ」のように書いて,自分なりに覚えていくでしょう。しかし,英語の音には,片仮名では表現できない音がたくさんあります。そのうち子どものほうから,「先生,それは片仮名で書けません」と言い出すはずです。そのときに,「書けないものは書かなくていいよ。それが英語の音だからね。よく気づいたね」と褒めてあげられるといいですね。

「話すこと(やり取り)」に関すること

  • Q4

    子どもどうしのやり取りでは,単語だけのやり取りになったり,英語の発音が日本語読みになったりすることがあります。どのように指導したらよいのでしょうか。

     単語だけのやり取りでも,いいのではないでしょうか。コミュニケーションのツールとして英語を使っていて,そのコミュニケーションが成立しているのであれば,無理にセンテンスで言わせようとコントロールする必要はありません。特に小学生のうちは,英語で楽しくやり取りができたことを評価すべきでしょう。

     発音についても,子どもたちが,片仮名のような,いかにも日本人が話す英語という発音をしていたとしても,堂々と言えていれば,それでいいと思います。

     ただしこれは,子どもたちの頭の中に,英語らしい音のサンプルがないことを意味するので,自然な英語の音をそのまま聞かせる時間を増やしたほうがいいですね。子どもたちは大人以上に音のピックアップが上手なものです。十分なインプットが与えられれば,自然と英語らしい発音で話すようになります。

「話すこと(発表)」に関すること

  • Q5

    子どもに英語で発表をさせるときに,どのようなことに気をつけたらよいでしょうか。

     大人からすると,その場で対応しなければならない「やり取り」よりも,事前に準備ができる「発表」のほうが気楽かもしれません。しかし,子どもにとっては,多くの場合「やり取り」よりも「発表」のほうが長い文章を話すことになります。

     発表をさせる際に気をつけたいのは,まず英語の正確性に気を取られすぎないこと。発表の目的は,第一に自分の考えや気持ちを伝えることです。その子が何を伝えたいのかを把握し,よりよく伝えるための手助けをする。例えば発表で「夏休みに海に行って泳いだことが楽しかった」と伝えたい子どもが “I went to the beach. I enjoy[正しくはenjoyed]swimming.”と言ったとしても,“Good.”などと言いながら,まずはその子が発表した内容について認めてあげることが重要です。その後で,“Oh, you enjoyed swimming? Me, too.”などと続けながら同意を示すことで,子どもにも「ああ,enjoyed と言えばよかったんだな」と気づきを与えることができます。

     また,思いや考えを伝えることが第一という意味では,ジェスチャーを使うことが「やり取り」にも「発表」にも役立ちます。担任とALTでサンプルの発表をしてみせたりするときにも,身振りや手振りを加えることを意識するといいと思います。

「書くこと」に関すること

  • Q6

    小学校卒業時には,どのくらいの英文を書けるようになっていたらよいのでしょうか。

     小学校の段階で英文を書ける必要はありません。
     身につけておきたいことは,アルファベットの大文字,小文字を活字体で書けるようになること,十分に慣れ親しんだ表現を書き写すことができるようになることなどです。また,書き写すときに,文頭が大文字になること,語と語の区切りにスペースが入ることなどを意識できるといいですね。これは,英文を書くうえで,とても大切なことだと思います。

  • Q7

    アルファベットに正しい筆順はあるのでしょうか。

     漢字には基本となる筆順の原則があって,それに従って書くと,形が整う,速く書けるといった利点があります。いっぽう,アルファベットには,正しい筆順として正式に示されているものはなく,ペンマンシップなどでは,一例としての筆順を示しています。文字の形を認識するために,指でなぞったり,形を覚えるために,1・2・3……と運筆のようなことをしたりしてもかまいませんが,必ずしも漢字のように筆順を教える必要はありません。

     小学校段階では書く量が少ないだけに,筆順が気になるかもしれませんが,書く量が増えるにつれて,気にならなくなるはずです。そして子どもたちも,たくさん書いていくうちに,それぞれにとって効率のよい筆順を見いだしていくでしょう。

  • Q8

    スペルミスはしっかりと指導すべきでしょうか。

     「指導」ではなく「声かけ」をしてあげるとよいでしょう。
     「ここAじゃないよ」とか,「Sが抜けているよ」というのではなく,「黒板の同じ単語を見てごらん,何文字ある?」というように,気づきを促しましょう。

     ただ,中学校に進学した後,試験や受験では,正しく書けなければ減点されてしまいます。「小学校ではよかったのに,どうして?」という思いが生まれてしまわないように,「今はいいよ,中学生になったら気をつけようね」などと補足してあげるのがよいと思います。

指導について 指導について
  • Q9

    教科になって変わることは何でしょうか。

     検定教科書が配布されることと,評価をする必要が生じることが大きく変わる点だと思います。注意しなければならないのは,小学校の外国語は小学校課程に新設された教科であり,中学校外国語がそのまま下りてきたわけではないということです。小学校外国語科の目標である「主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を養う」ことを重視しましょう。

  • Q10

    指導計画を立てるときに注意することは何でしょうか。

     どのように授業を組み立てていけばよいのか,不安を感じる先生も多いと思います。
     教科書や指導書に書かれているとおりに「これを教えなければ」と,授業を始めてしまうかもしれませんが,最初にするべきことは,他の教科と同様,子どものもっている力をしっかり把握することです。知識や技能の習得だけに終始することなく,子どもたちが自分のもっている力を使って考えながら表現し,人と関わりをもつことができる言語活動を含めることが大切です。指導計画を立てるときには,子どもたちが何のためにその活動を行うのか明確にし,「英語でこんなことを言ってみたいな」などの思いをもって取り組むことができるように組み立てることも大切です。

  • Q11

    「めあて」を子どもに明示したほうがよいのでしょうか。

     めあての示し方によっては,子どもたちの学びの広がりを止めてしまうおそれもあるので,注意が必要です。例えば,「自己紹介することができる」というめあてだったらよいのですが,“I’m from ○○.”などと正確に英語で言えるようになることをめあてにするのは適切ではありません。コミュニケーションを取ることが目的であり,文型を覚えることがいちばんのねらいではないからです。

     低・中学年のうちは,「楽しかったか」「がんばったか」を振り返るくらいで考えたほうがいいように思います。

  • Q12

    授業の最後に,「振り返り」は必要でしょうか。

     「今日の授業でやったことはこういうことだよね? できるようになった?」と振り返りを習慣化していくことで,学びが深まり,定着していきます。
     振り返りの習慣づけが小さい頃からできていると,自律した学習者に育っていきます。中学生,高校生,大人になってからの学習につなげるという点でも,「振り返り」は意識していくといいと思います。

  • Q13

    ゲームで盛り上がりすぎてしまったときのよい対処法はないでしょうか。

     ゲームが盛り上がること自体はとてもよいことですね。でも,盛り上がりすぎると収拾がつかなくなる状況もよくわかります。

     ゲームの進め方や内容を見直して,「聞かないとできない」ゲームに変えてはどうでしょうか。先生の説明やアドバイスをきちんと聞かないとできないものにしたり,相手の話を聞かないと楽しめないものにしたりして,うるさすぎると困るようにしてしまうのです。

     それが難しければ,ゲームの後に,書く活動など,静かにやらなくてはいけない活動を入れて,自然と落ち着くような授業の流れにするのがいいでしょう。

  • Q14

    専科ではなく,担任が英語の授業を行うことのメリットは何でしょうか。

     今求められている「主体的・対話的で深い学び」を育むうえで,子どもの興味・関心,一人一人の個性をわかっている担任の先生が授業を行うことには大きな意味があります。
     例えば,一時的に,英語が専科の先生を招き,すばらしい授業を行ってもらったとしても,単発の学びで終わることもあります。クラスの子どもたちの個性をよく知る担任の先生が授業を動かしていくことで,継続した学びにつながっていくのです。

     メリットはもう一つあります。小学校の先生は全教科を担当していることが多いので,子どもたちが,いつ,どんなことを学んでいるかを把握しています。「今日の算数と絡めてこの活動をしようかな」「社会科の授業に出てきた例を出してみようかな」などと,関連づけて学ばせることができるのです。

教材・教具/教室の環境づくり 教材・教具/教室の環境づくり
  • Q15

    『Let’s Try!』や検定教科書以外のもの(絵本など)はどのように取り入れればよいのでしょうか。

     低学年で外国語活動を行う場合は,小さい頃から親しんできた絵本の英語版や,生活の中で触れているテーマに関する絵本などを,どんどん取り入れていただいたほうがいいと思います。高学年では,他教科で触れている内容に関する読みものを取り入れることもよいでしょう。いずれにしても,子どもたちが「本物の英語」に触れる機会は多いに越したことはありません。

     絵本を取り入れる余裕が授業時間中につくりづらいということであれば,例えば,朝の会など英語以外の時間にも,絵本の読み聞かせなどをぜひ取り入れてみてはどうでしょうか。

  • Q16

    読み聞かせのために簡単な絵本を選んでも,『Let’s Try!』や検定教科書に出てこない言い回しや単語が入ってしまいます。そのような絵本を使っても大丈夫でしょうか。

     必ずしも『Let’s Try!』や検定教科書に合わせる必要はありません。絵本を通して,異文化や「本物の英語」に触れさせることができればいいのです。もちろん,何でもいいから読み聞かせましょうということではありませんが,子どもたちに何かしら得られるものがある本であれば,どんどん使っていただきたいと思います。なお,光村図書の教科書『Here We Go!』には,各Unitの最後に英語の文化圏で親しまれている「英語の歌」や「英語の物語」が載っています。音声や場面ごとの挿絵も用意されているので,こちらも積極的に使っていただきたいと思います。

     絵本や歌には,言語的に難しいように思えても,子どもの生活レベルとしては自然な内容がたくさん入っています。絵本を選ぶ際には,単語や表現がわからなくても内容をイメージできる挿絵があるものを選ぶといいですね。挿絵がない場合は,途中で子どもたちとやり取りをしたり,別に写真を用意したりして補いましょう。

  • Q17

    絵カードの作り方・扱い方のこつを知りたいです。

     小学校英語では,基本的には音から入り,次に文字の認識へとステップアップしていきます。教えている子どもたちが,今どの段階にあるのかを把握したうえで,それに合う絵と文字のバランスを考えるようにします。つまり,初めのうちは絵がメインのカード,文字の認識ができるようになってきたら,絵は小さめで文字が目立つカードに変えていくのです。

     カードの大きさは,目的に合わせて考えましょう。子どもが手元で使うのか,全員の前で見せるのか,黒板に貼るのか貼らないのかで,調整が必要です。何種類か用意しておくと便利ですね。

     丁寧にラミネートをしているものも目にしますが,光って見えづらいということもあります。長持ちさせたいという場合は,少し厚めの紙に印刷し,A4クリアファイルに挟んで保管するという方法もよいでしょう。

  • Q18

    教材の効率的な管理方法はないでしょうか。

     保管場所は一か所に決めておきましょう。教材は,ユニットごとにジッパー付きファイルケースなどに入れておきます。指導案も一緒にしておくのがポイントです。それとは別に,動物のカードや食べ物のカードなど,テーマ別の教材セットも作っておきます。こうした教材は,同時に複数のクラスで使うことがあるので,複数用意しておくといいでしょう。

  • Q19

    ICT教材の効果的な活用のしかたを知りたいです。

     ICT教材を使うことで,自分たちではなかなか用意できない物を視覚的に見せることができ,子どもたちに「わあ,すごい」という感情,興味・関心をもたせることができます。こうした使い方がいちばん効果的だと感じます。

     また,記録管理に使うのもいいですね。子どもの作品をデータにして残しておけば,簡単にポートフォリオを作ることができます。1年前の自分の作品と比べさせて,子ども自身に成長を実感させるのも効果的です。

     ただし,ICT教材に頼りすぎてはいけません。英語に自信がないという先生ほど,ICT教材で授業を進めようと考えがちですが,機器に不具合が起こる場合もあります。ICT教材「も」取り入れるという感覚で,アナログ教材とバランスを取りながらうまく活用するようにしましょう。

  • Q20

    教室環境のつくり方について教えてください。

     「英語教室」「英語ルーム」などを設ける学校も増えているかと思います。とてもすばらしいことですが,その日の学習内容によって,使う教室や,教室のレイアウトは変えるようにしましょう。

     低学年のうちは,みんなでフロアに座って絵本の読み聞かせを楽しんだり,歌ったり踊ったりといった活動を行えますが,高学年で書く活動が入ってきたら,机・椅子がないと難しいですよね。いっぽうで,高学年でも,劇やプレゼン,スピーチといった活動のときには,広いところがいいですね。
     教室の環境は固定させるのではなく,その時々で判断し,変えていきましょう。

  • Q21

    効果的な掲示物とはどんなものでしょうか。

     掲示物には,言語学習的なアプローチを行うものと,異文化理解のアプローチを行うものの二通りがあると思います。

     まず,言語学習的なアプローチを行う場合に気をつけたいのは,英語の雰囲気づくりのために,やみくもに英単語や英文を貼っていないか,ということです。
     基本的には,子どもたちが音声で触れたことのある英語を掲示して,子どもたちが,「ああ,あれ知っている,やったことがある」と思い出す目的の掲示物にするのがいいと思います。

     もう一方の異文化理解のアプローチを行う場合ですが,これは,英語教室・英語ルームなどがある場合に,特におすすめです。例えば,郵便ポストは日本では赤,アメリカでは青なのですが,国旗とともに郵便ポストの写真を貼っておけば,違いがひと目でわかります。なんだか珍しいから見てみよう,と思わせるものがあれば,子どもたちは掲示物の周りに自然に集まってくるものです。子どもたちの興味・関心を引きつけ,学びが深まる掲示物を考えてみましょう。

教師の英語力 教師の英語力
  • Q22

    授業は,All Englishでなければいけないのでしょうか。

     できるところから英語にすればいいのではないでしょうか。
     子どもへの指示のうち,普段使用するClassroom Englishはできる限り英語で進められるとよいと思います。いっぽうで,日本語で言ったほうが活動のねらいがはっきり伝わったり,学びが深まったりすることで効果的と思われる場合もあります。無理に All English にしようとするあまりに,先生が無口になってしまったり,褒め言葉がわからないからといって,“OK.”一辺倒になってしまったりするほうが不自然です。子どもを褒めるべき場面で,先生が英語で言えないからといって,言わないことほどもったいないことはありません。その場では日本語で言って,後から調べて,「ああ,“○○○”と言えばよかったんだ」となればいいわけです。

     また,子どもにAll Englishを課すのは酷だと思います。
     内容に興味があって,英語が聞き取れていれば,母語でポンと答えたいという気持ちが先に出て,日本語で答えてしまうのは自然なことです。そこで “No, in English!”と言われたらやる気がそがれてしまいます。

     いっぽうで,ALTとのティーム・ティーチングにおいて,ALTが言ったことを全部日本語に訳すといったことはやめましょう。これをしてしまうと,子どもたちの英語をそのまま理解しようというモチベーションが下がってしまいますし,訳してもらうのを待つようになってしまうかもしれません。また,学習の過程で訳す習慣がついてしまい,訳すことがゴールになってしまいます。ネイティブの英語を聞くことができる貴重な機会は,最大限に生かしましょう。

  • Q23

    子どもの質問に,すぐに英語で返せないのですが……。

     すぐに英語で返せなくてもいいと思います。
     A23でも回答しているとおり,日本語で伝えたほうがよい場合や,後から調べれば十分な場合もあります。
     また,特に,子どもの気持ちを受け取って返すようなキャッチボールは,やり取りが止まってしまうよりも,日本語でしっかり言ってあげたほうがよい場合もあるでしょう。

  • Q24

    子どもの褒め方のバリエーションが知りたいです。

     英語の褒め方のバリエーションを増やしたいということだと思いますが,まずは日本語の褒め方のバリエーションを考えてみてはどうでしょうか。多様な日本語で褒めていなければ,英語での褒め言葉のバリエーションも考えることはできません。つまり,日本語で「いいね」「いいですね」としか言っていなければ,当然英語でも“Good.”だけになってしまいます。

    しかし,だからといって,日本語で褒め言葉のリストを作って,それに対応する英語表現をまとめたリストを作ればいいわけではありません。表現を増やすのではなく,何がよかったのかを伝えることを意識しましょう。

     また,ここでもう一つ気をつけてほしいのは,バリエーションがあるからといって,やたらと褒めればいいわけではないという点です。例えば “How’s the weather today?”といった授業の冒頭で繰り返し行ってきた質問に対して,子どもから“It’s sunny.”と返答があったときに,“Good.”と褒めてはいないでしょうか。言えてあたりまえになってきたことも褒めていたら,それはただの型になってしまいます。そしてこのように型として褒め続けてしまうと,子どもたちも「褒められた」とは受け取らなくなります。この場合は,“Right.”とか,“Is it? I think it’s cloudy.”のように,自然なやり取りにつなげていくようにしましょう。

  • Q25

    発音に自信がありません。

     伝えたいことが伝わっていればいいので,必要以上に発音を気にしなくてもいいと思います。子どもたちが文脈で意味をつかめていれば,まずよしとしましょう。
     LかRかというような,一つ一つの発音に固執してしまうと,話せなくなってしまいます。一つ一つの発音よりも,まずはリズムを意識して,英語らしく抑揚をつけて話すように心がけましょう。

  • Q26

    表現のしかたや発音などが正しいのか,自分で確認する方法はないでしょうか。

     表現や文法が正しいかどうかを確かめたいときには,自動翻訳(Google翻訳など)に英文を入れてみて,正しい日本語表現が出てくるかを試すのが手ごろな方法です。何かちょっと変な文章が出てきたなという場合は,どこが違うのかを探して直してみましょう。

     同様に正しい発音かどうかは,スマートフォンの音声認識アプリ(Siriなど)に英語で話しかけて試すのがいいですね。

     ただし,正確さを身につけるには時間がかかります。授業中は,間違いを気にしすぎないこと。正確さよりも伝わるかどうかを意識しましょう。身振り手振りを交えてもかまいません。あまり心配せずに授業に臨むことです。

  • Q27

    英語を練習する機会や時間がないのですが……。

     身の回りにあるものを最大限に活用しましょう。
     校内にALTがいるのであれば,ALTと話してみることです。あとは,海外ドラマを見てみる,洋楽を聴いてみるなど,何でもかまいません。「英語力向上のため」などとあまり意識せずに,楽しく英語に触れる時間を増やすことから始めてみましょう。
     英語の授業をしなければならないと考えると,アウトプットを急ぎたくなりますが,お金と一緒で,ないものは出せません(笑)。まずはインプットを増やすことから始めましょう。

ALTとの協力体制 ALTとの協力体制
  • Q28

    英語力が不足していて,会話がうまくできないのですが……。

     できることから少しずつやればいいと思います。まず挨拶から始めて,徐々に会話につなげていきましょう。
     ところで,会話がうまくできないのは,本当に「英語力」が不足しているからなのでしょうか。たとえ英語ができなくても,身振り手振りでコミュニケーションを図ることはできるはずです。大切なのはコミュニケーションを図ろうとしているかどうかです。ALTと本当に話したいと思えるかどうかがポイントなのです。

  • Q29

    授業中に,ALTが日本語ばかり使ってしまうのですが……。

     もしかすると,ALTはそれに気づいていないのかもしれませんが,子どもたちに英語のお手本をたくさん聞かせてあげることがALTの役目だということを最初にしっかりと伝えましょう。

     鍵になるのは,その伝え方です。“Please speak English.”と言ってしまうと,これはただの命令になってしまいます。子どもに指示を出すときの英語は,簡潔でわかりやすいことが大切なのですが,その感覚でALTに指示を出してしまうと誤解を招くかもしれません。理由を添えて,お願いをするように気をつけましょう。

  • Q30

    ティーム・ティーチングの効果的な指導方法を教えてください。

     まずは,授業中の二人の立ち位置から見直してみましょう。
     二人で教室の前に立ち続けていませんか。会話のデモンストレーションを見せるときを除いて,この状態はちょっと不自然ですし,何より子どもたちのつぶやきが拾えませんよね。一人が前にいるときは,もう一人は子どもの中や後ろに立つなど,心がけてみてください。これだけで,なんだかしっくりくるようになったという例は少なくありません。

小学校英語キーワード解説 小学校英語キーワード解説
  • Activity

     活動のことです。インタビューやスピーチなどの技能的活動もあれば,ゲームのような活動もあります。活動をする際には,①ほとんどの児童ができる活動か,②活動をさせる指示が簡単で児童がわかりやすいか,③活動の目的を児童が理解できているか,などに気をつけます。また実際にやってみて,難しそうな場合は,説明に絵や動画を使う,簡単な活動に変える,友達と助け合わせるなどの工夫をしましょう。それでも児童の反応が鈍い場合は,内容を見直すことが大切です。

  • CEFR(Common European Framework of Reference for languages)

     CEFR(外国語の学習,教授,評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠)とは,言語能力をわかりやすく示した国際的なガイドラインです。多言語が使用されるヨーロッパで,欧州評議会が個人の各言語に対する習得状況を測るため,共通の「ものさし」として開発し,2001年に公開されました。外国語の熟達度をA:基礎段階,B:自立段階,C:熟達段階とし,初心者レベルのA1からネイティブ並みのC2までの6レベルに分かれています。日本でも,各資格・検定試験の得点がCEFRのどのレベルかを示す対照表を公表するなど,ヨーロッパ以外にも広がっています。

  • CLIL(Content and Language Integrated Learning)

     CLIL(内容言語統合型学習)とは,近年ヨーロッパで急速に広まっている,理科や社会などの教科学習と外国語学習を合わせた学習法です。日本では,英語教育の一種と考えられていますが,先生や生徒の能力に応じて,英語を使いつつ母語(日本語)も使用できる点でバイリンガル教育とは異なります。また,生徒が能動的に考えたり,グループで話し合ったりする機会も多く,多様な活動(絵を描く,歌を歌う,身体で表現する等)を用います。PBL(プロジェクトベース型学習)と協同学習をミックスした,21世紀型のアクティブ・ラーニングといえます。

  • Small Talk

     元々はパーティーなどで初対面の人に会ったときに,お天気などの軽い話題について交わす会話のことです。小学校外国語では,高学年教材で簡単なおしゃべりのような形で既習表現やあるテーマについて2時間毎に1回程度,10分程度の帯活動で実施します。先生と児童,あるいは児童どうしで考えや気持ちを伝え合うやり取りをします。身近な話題について担任の先生とALTの先生が即興で行うこともありますが,学習した表現を児童が繰り返し使って定着させることを目的とすることもあります。

  • Unit

     単元のことです。中学年対象の文部科学省教材『Let’s Try!』では,各単元を2~4時間で実施するように指導書に記載されています。また光村図書の高学年対象の教科書『Here We Go!』では,各単元を6~8時間で実施することになっています。各単元の目標も示されているので,授業時間数のどこでその目標に向けた活動をするか予定を立てるとよいでしょう。そして単元の最後には,振り返りシートなどを使って児童自身にもその目標が達成できたかを確認させてもよいですね。

  • チャンツ

     本来は聖歌などに節をつけて歌うことです。小学校外国語では,単語,フレーズ,短い文などにリズムをつけて発声することで口を慣らし,発音やイントネーションを身につけることを目的としています。デジタル教材にはいろいろなリズムがあるので,変化をつけて繰り返し言うことで,児童は発音やイントネーションに親しみ,英語表現にも慣れていきます。また,身体を動かすなど多感覚を使った指導をすると,脳の多様な部分を刺激するので,聞くだけでは覚えるのが苦手な児童も定着しやすくなります。

  • フォニックス

     英語の文字と音との間のルール,またはルールを教える指導法のことです。日本語の1文字は基本的に1つの音を表しますが,英語では1つの文字に2つの音がある(eのi?とe),2つの文字で1つの音になる(ch),音がない文字がある(knifeのk)などがあるため複雑です。英語母語話者でも,ディスレキシア(文字を読むことに困難がある障害)の発生率は高く,10~15%ともいわれています。学習指導要領では小学校におけるフォニックス指導は求められていませんが,ルールを覚えることは英語を読む力につながります。

  • シラブル

     音節のことです。日本語では平仮名の「あ,い,う,え,お」は母音が1個の音節ですが,「ん」を除く残りの文字は,基本的に子音+母音の音節なので1文字=1音節となります。これに対して,英語では,母音を1個だけ含む,発音しやすい音のまとまりを指し,文字数は定まっていません。(例えば,championという語は,cham・pi・onという3つの音節からなり,それぞれに母音が1つ含まれます。)音のまとまりであるシラブルは,1拍で発音すると自然に聞こえます。

  • ライム

     連続した音というような意味で,韻を踏む,つまり同じ音を繰り返すという意味でも使われます。英語の歌では繰り返し同じ音がよく出てきます。これは,ヒップホップなどで特に顕著ですね。韻を踏んでいるとリズムよく響くので,同じ響きを繰り返してリズムを楽しみながら歌うことで,発音のよい練習になります。

  • モジュール(学習)

     10~20分程度の「帯」学習のことです。モジュールとは,一般に小さなテーマごとに区分した単位のことを指します。小学校英語では,1時間の授業を分割して何回かに分けて(例えば15分ずつを3回など)実施する単位学習のことをいいます。短時間で繰り返しできるような活動,例えば,チャンツをする,カードを使って前時の復習をする,映像を見て話し合う,英語絵本を読み聞かせる,などをするとよいでしょう。

  • 4技能5領域

     従来の英語指導では,「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が中心でしたが,新学習指導要領では「話す」が,「やり取り」と「発表」の2つの領域に分かれました。「話すこと(やり取り)」は,準備したものを話すのではなく,相手がいてその場で即興的に言葉のキャッチボールをする力を指します。一方,「話すこと(発表)」では,大勢の相手に対して自分の考えや意見をわかりやすく伝える力を指します。CEFRでは言語の運用場面を4技能5領域に分けているため,これに合わせたのです。多様な場面や状況に合わせた話す力がより求められます。

  • 言語活動

     小学校外国語活動・外国語科では,英語で言葉を相手と交わす活動のことです。授業では,いろいろな場面で,実際に英語を使うことを想定した言語活動を,積極的に取り入れることが求められています。新学習指導要領では,「知識及び技能」だけでなく,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性」を養う必要があるので,言語活動を通して,言葉のおもしろさや豊かさ,コミュニケーションの楽しさに気づかせることが期待されています。

  • 言語材料

     新学習指導要領では,言語材料について取り扱う項目が明記されているので,それらに留意して指導する必要があります。材料には,「ア 音声」,「イ 文字及び符号」,「ウ 語,連語及び慣用表現」,「エ 文及び文構造」があり,それぞれに詳しい説明もありますが,その中から単元の目標を達成するのにふさわしいものを選びます。また言語活動をする際に,日本語や日本の文化との違いに気づかせるなど,児童の関心や能力に合わせた材料を選ぶとよいでしょう。