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笑顔があふれる学校経営のヒント 第2回

笑顔があふれる学校経営のヒント

2022年2月14日 更新

太田 元 東村山市立東村山第三中学校 統括校長

管理職や行政での豊富な経験から、子どもも大人も笑顔があふれる学校づくりのヒントをお伝えします。

太田 元(おおた・げん)

東村山市立東村山第三中学校 統括校長
東京音楽大学音楽学部(器楽科)卒業。これまでに、東京都公立中学校長、東京都公立小学校長、都・区・市教育委員会で指導主事、統括指導主事、指導課長を歴任。

第2回 コロナ禍の中で得たもの

「スピード感」をもって「じっくり」と

「スピード感」という言葉と「じっくり」という言葉は、一見相反するような言葉ですが、過去の経験からは想像もできなかった未曾有の出来事に直面したとき、この両方を併せ持って対応することが必要だと思います。私が心掛けたことは、まず、目の前のことに「スピード感」をもって当たり、1週間後、1か月後、1年後、10年後のことに「じっくり」考え取り組むことです。

特に今回のコロナ禍への対応では、「判断する」ことの難しさをさまざまな場面で感じました。先が見えない状況の中で、私だけではなく、生徒や保護者、そして教職員とともに、どちらを向き一歩を踏み出せばよいのか、いや、そもそも一歩を踏み出してよいのか不安な時間が過ぎていきました。しかし、その時いたずらに時間をかけるのではなく、情報や対応の仕方のアイディアをなるべく多く得たうえで判断し、根拠(なぜそうなのか)を示して説明する…そのようなことの連続だったような気がします。私の場合、情報や対応の仕方のアイディアは同僚の先生方や職員の皆さんから多く得ることができたことは、校長としてありがたいことでした。そして、いつも誰かに感謝できる環境で管理職として仕事ができる幸せを実感しています。

「得たもの」をどのように大切にしていくか

「昔の姿」をそのまま復活させたり、「今」その場の対応だけを考えたりするのではなく、コロナ禍を戦い抜いて得たものを、5年後でも通用する「最大公約数」として考え、「with コロナ」のスタンダードを創造していきたいと考えています。ともすると私自身も、「コロナのせいでできない」とその場に立ち止まってしまったり、後ろを向いてしまったりして、ある時、「はっ!」と自分自身を振り返り、「これではいけない」と本来の自分を取り戻そうとします。

学校現場で、毎日、常に感染防止を念頭におきながら子どもたちに接している先生方は、子どもたちにもっと多くの体験をさせたいけれど思うようにならない残念な思いで先行きの不安が大きくなってきたりもします。しかし、そのような状況の中で、小さなことでもできることを見つけたり、環境を整えたり、学校現場の「今」に対応し、前に進んでくれています。まさに、これがコロナ禍を必死に戦い抜いて「得たもの」のはずです。どうにかしようと取り組んでいることを管理職として、最大限評価し、その価値付けをするべきだと思います。

「スタンダードを創造する」、創造されたスタンダードが何かも大切ですが、スタンダードを創造する過程で、教員の「当事者意識」が実は着々と育っていることを管理職が感じ取りたいものです。

「理解しようとすること」と「理解してもらおうとすること」

以前、児童自立支援施設の中に設置された公立中学校で副校長をしていました。その学校では、児童自立支援施設の職員が、学校組織の中で福祉担当として、私たち教員とともに子どもたちの自立に向け力を尽くしていました。

その福祉担当の係長(当時)からささやかれた言葉が今でも私の心に残っています。その言葉は、「学校の先生たちは、本当に子どもたちを理解しようとしてくれていて素晴らしいですね。でも、もっと先生自身が自分のことを子どもたちに理解してもらおうとするといいのに…と思うことがあります。」というものでした。私自身、はっとされられる瞬間でした。それは、私も副校長として教職員のことを理解しようと、そのことに一生懸命で、私自身を教職員に理解してもらう努力をどれだけしていたか…と思ったからです。管理職である自分が、教職員に対して自分自身を「理解してもらおうとすること」をしなければ、教職員も子どもに対してそのような「引き出し」をもとうとしないのではないかということです。

教職員が自身を「理解してもらおう」としていることを、管理職が「理解」し、管理職が「理解してもらおう」としていることを、教職員が理解する…、そしてそのような関係が、同僚でも、生徒に対しても、そして保護者に対しても築けていけたなら、きっと、お互いを理解し、尊重する学校が実現していくと思うのです。

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