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学力を伸ばす学級経営Q&A 第4回

学力を伸ばす学級経営Q&A

2018年12月14日 更新

神山 安弘 専修大学客員教授

「主体的・対話的で深い学び」の視点から学級経営を考えるヒントを紹介します。

神山安弘(かみやま・やすひろ)

1951年横浜市生まれ。専修大学客員教授。元東京都江東区立明治小学校統括校長。文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議委員」などを歴任。

第4回 12月の学級づくりのポイント

子どもにとって学級はどのような場所でしょうか? それは、そこに行くことが楽しく、待ちどおしいと思う場所です。なんでも話し合える友だちがいる、自分のことを理解してくれる先生がいる、分からないことが分かるようになり、できないことができるようになる、それが子どもにとっての「学級」です。

学級は、教師が子どもの個性や可能性を見つけ「育てる」場所であり、子どもが自分の力を発揮しながら「育つ」場所です。優れた学級経営は、子どもの心や学力を育てます。そして、学級づくりが進むと「子どもの力」は伸びます。

このコーナーでは、若い先生方から寄せられた質問をもとに、私の長年の経験を通して見えてきた「子どもの学力を伸ばす」学級経営の在り方についてお答えします。

Q.学校で「対話的な学び」をテーマに授業改善に取り組んでいますが、子どもが主体的に取り組む対話的な学習はどのようにすればいいのでしょうか。

◆ 「子どもの成長」と「学級の成長」を確認し、授業改善をする

12月は秋の行事を成しとげ2学期の締めくくりの月です。そして、4月から実践してきた「学級づくり」「授業づくり」の力を発揮し、自分が目指す「授業づくり」に挑戦することや、今年度の学級や個人のめあてを振り返り、次への意欲をもたせることが大切な時期です。

新しい学習指導要領では、授業の質の向上を目指す授業改善の方向として「対話的な学び」を授業で実践することが求められています。そのためには、子どもが「個人で学ぶ力」と学級が「集団で学ぶ力」を発揮することが大切です。そして、子どもが認められ安心できる「居場所」と子どもに活躍できる「出番」がある学級経営のもとで「対話的な学び」は成立します。

◆ 「対話的な学び」を支えるポイント

「対話的な学び」を位置づけた授業を実践するために、日常の「学級経営」や「授業づくり」で次の三つのポイントを確認し取り組んでみましょう。

1.学級の人間関係を確認する

学級経営が授業の根幹です。教師と子どもの信頼関係が確立し、安心して学校生活を過ごせる環境をつくることです。そして、子ども相互が一人一人の違いに「気づき」「認め」「生かす」学級文化を醸成し、共に学び合い高め合う学級を構築することです。

2.学習ルールを確認する

「真面目に授業に取り組む態度」、「意欲的に授業に参加する態度」、「自分の考えを表現する態度」など授業に対する姿勢を育てることです。また「話し方・聞き方」、「ノートのつくり方」、「話し合いの仕方」など学習ルールを確認し定着させることです。

3.授業構成を構造化する

1時間の授業構成をシンプルにし、子どもに授業の流れを示し「何を」「どのように」学習するのか「見通し」をもたせます。「対話的な学び」を位置付けた授業の流れを構造化し、定着させることで「対話的な学び」の役割を理解させることができます。

◆「対話的な学び」を進めるポイント

「対話的な学び」を充実した学習にするには、子どもが活動を楽しいと実感することです。「対話的な学び」には、次の三つのポイントを大切にして取り組んでみましょう。

1.対話的な学びの「目的」を明確にする

子どもが話し合いを「何のため」するのか、話し合いの「必要性」を感じているのかなど「目的」を理解させることです。気付きや考えを出し合い、多面的・多角的な視点から理解を深めることや、各自の考えをまとめ焦点化することなど、教師が「目的」を明確にしてから活動をさせることです。

2.対話的な学びの「内容」や「方法」を具体的に示す

子どもが何を話し合うのかという「内容」と、どのように話し合うのかという「方法」を具体的に示すことです。話し合いには一定の型とルールが必要です。そして、授業で「話し合い」には自分の考えをもち参加することや、友だちの考えを聴き「反応する力」を育てることです。

3.対話的な学びの「成果」を共有する

ペア学習・グループ学習・学級全体学習などの対話的な活動の「成果」は、学級で検証し共有することが大切です。対話的な活動でホワイトボード・画用紙を活用し学びを記録することや、グループの学びを学級で集約するなど、学びの成果を「見える化」することで成果を共有しやすくなります。

「対話的な学び」は、これからの授業改善の大切なテーマです。子どもが「活動するだけ」の学習から「学びが深まる活動」の学習に改善することがポイントです。豊かな学級経営の土台に「対話的な学び」を実践し授業の質を高めていきましょう。

次回は、1月の学級づくりについて取り上げます。

Illustration: みずうちさとみ

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