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第3回 話し合い指導(1)―土台固めを大切に―

そがべ先生の国語教室

2015年6月17日 更新

宗我部 義則 お茶の水女子大学附属中学校副校長

30年の教師生活で培った豊富な実践例をもとに、明日の国語教室に役立つ授業アイデアをご紹介します。

第3回 話し合い指導(1)―土台固めを大切に―

「話し合いがうまくできない」「どんなふうに話し合わせるとよいか」と尋ねられることがよくあります。

画像、授業風景

「話し合い」を育てていく上で、基盤になるのは信頼関係とお互いの考えに学び合う姿勢です。そんな風土をつくるには、学年・学級づくりと連動して、話し合い指導の考え方や話し合いのしかたなどを学年の先生どうしで話し合い、「こんなことを大切にしよう」「ここは各学級そろえて指導しよう」という基盤をつくることが大切です。

私の学校では、例えば次のような点を共有しています。

〇話し合いを大切にすること。
 「みんなで決めたことはみんなで守る」を徹底すること。

〇少数意見を大切にすること。違う考えを聞き合うこと。

〇「個―小集団―全体」を行き来する話し合いを基本スタイルにすること。

〇授業での話し合いは学習班(4~3人)で行うこと。

〇話し合いでは「今日の進行役」をはっきりさせること。

「個―小集団―全体」というのは、「まず個人で考え、それを小集団で話し合い、その結果を持ち寄って学級で討議する。全体での学級討議の途中で必要に応じて小集団で話し合い、最後は個人で話し合いをふり返って自分の考えをまとめる」ということです。話題や必要に応じて、隣どうし(2人)、学習班(4~3人)、生活班(5~6人)を使い分けます。授業では生活班で話し合うことはほとんどせず、ペアか学習班での話し合いを基本にします。学習に関する意見交換は5人では多すぎます。4~3人がベスト。学習班のメンバーは次の席替え(およそ6週間で再編成)まで固定。そうした学習班のつくり方も含めて全教科で徹底します。

こうした「話し合う基盤」を学年・全教科で共有することが、授業での話し合いを高め、話し合いが高まることで学び合いが深まり、学習成果が上がることに繋がるのです。急がば回れ。土台固めを大切に! です。

さて、その上で……。
国語科の授業では、学年全体の話し合いの技能面を自覚的に育てていきたいものですね。次回から、日頃、私が行っている学習班での話し合いづくりのポイントをいくつか紹介します。

次回も引き続き、話し合い指導についてご紹介します。

Illustration: Chiaki Tagami

宗我部義則(そがべ・よしのり)

1962年埼玉県生まれ。お茶の水女子大学附属中学校主幹教諭。お茶の水女子大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師。平成20年告示中学校学習指導要領解説国語編作成協力者。編著書に『群読の発表指導・細案』(明治図書出版)、『夢中・熱中・集中…そして感動 柏市立中原小学校の挑戦!』(東洋館出版社)、『中学校国語科新授業モデル 話すこと・聞くこと編』(明治図書出版)など。光村図書中学校『国語』教科書編集委員を務める。

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