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第5回 漢字が好きになる―低学年編―

青山先生の国語教室

2017年2月21日 更新

青山 由紀 筑波大学附属小学校教諭

子どものモチベーションをアップさせる、国語の授業アイデアをご紹介します。

第5回 漢字が好きになる―低学年編―

漢字を定着させるには、復習の機会を何度も設けたり、さまざまな場で活用したりしていくことが欠かせません。宿題だから書くのではなく、子どもが自然に何回も書いてしまうような場を設定できたら、漢字は定着しやすくなるでしょう。
ここでは、授業の隙間に、遊び感覚で漢字を学べる(自然に学んでしまう)アイデアをいくつかご紹介します。まずは、低学年におすすめの活動です。

なかまはずれ探しクイズ

例1は、たくさんの「大」の中に、似ている漢字「犬」を混ぜたものです。最初は、教師が例1を黒板に書いて、「なかまはずれが一つだけあります。どこにあるのかな」と子どもたちに投げかけます。実際に1年生のクラスで行ったときは、子どもたちは夢中になってすぐに答えを見つけました。そして、「『大』に似ている字は他にもあるよ。『木』とか『本』も入れてみようよ」など、クイズをもっと面白くする工夫まで提案してくれました。プリントにして配布する方法もありますが、黒板に書いたほうが、みんなで一緒にやり方を確認しながら盛り上がることもできるのでおすすめです。

やり方がわかったら、今度は子どもたち自身に問題を作らせます(例2)。「大」「犬」「木」「本」、「目」「日」など、第 1学年の配当漢字だけでも、似ている漢字はたくさんありますので、低学年でも無理なく取り組むことができます。ヒントが必要な子どもには、1年教科書下巻「にて いる かん字」(p102~103)に、「貝」「見」、「人」「入」など、似ている漢字の例が載っていますので、参考にしてもよいでしょう。

このクイズ作りを通して、子どもたちは次のような学習をすることになります。

  • 同じ漢字を、いつの間にか何度も書く。
  • 似ている字形の漢字を、子ども自身が意識して探したり、書いたりする。
  • 雑に書いてしまうと字形がわかりにくくなり、問題が成立しなくなるので、丁寧に書く。
なかまはずれ探しクイズ、教師作例
例1 教師が示した「なかまはずれ探しクイズ」
なかまはずれ探しクイズ、児童作例
例2 児童が作成した「なかまはずれ探しクイズ」

漢字の足し算・引き算クイズ

名前のとおり、漢字の部分を足したり引いたりするクイズです。「なかまはずれ探しクイズ」と同様、教師が例を示せば、低学年の子どもたちでも、やり方をすぐに理解できる活動です。ただし、子どもに作らせる際、次のようなルールを設けるとよいでしょう。

例)
木+木=林 / 日+十=早
名-口=夕 / 話-千-口=言

ルール)

  • 一画一画をばらばらにしない。
    (「へん」「つくり」などの漢字の構成を意識させるため)
  • 足し算の場合、筆順どおりに足していく。
    (筆順を意識させるため)
漢字の足し算・引き算、児童作例
例3 児童が作成した「漢字の足し算・引き算クイズ」問題と答え

「なかまはずれ探しクイズ」や「漢字の足し算・引き算クイズ」は、いずれも子ども自身がクイズを作ることに意味があるのです。そうすることで、受け身ではない自主的な漢字学習を実現することができます。 
また、子どもたちは、これらのクイズを作る中で、さらに工夫を加えたり、新しい漢字クイズを考え出したりするでしょう。子どもたちと一緒に、アイデアを広げていってみてください。(談)

次回は、中・高学年に適した漢字ゲームをご紹介します。

青山由紀(あおやま・ゆき)

東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。日本国語教育学会常任理事。全国国語授業研究会常任理事。著書に『古典が好きになる』(光村図書)、『板書 きれいで読みやすい字を書くコツ』(ナツメ社/樋口咲子共著)、『子どもを国語好きにする授業アイデア』(学事出版)などがある。光村図書小学校『国語』教科書編集委員を務める。

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