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スペシャル対談「見る癖、見る仕事」 五味太郎 × 江國香織

「飛ぶ教室」のご紹介

2015年7月3日 更新

「飛ぶ教室」編集部 光村図書出版

児童文学の総合誌「飛ぶ教室」に関連した企画をご紹介していきます。

五味太郎編集号! スペシャル対談「見る癖、見る仕事」 五味太郎 × 江國香織

「飛ぶ教室」42号(2015年7月25日発売)は、あの絵本作家・五味太郎さんを編集長に迎えます。抜群の感性が生かされた五味編集長ならではの企画がいっぱい!
今回はその中から、五味編集長と作家・江國香織さんの対談「見る癖、見る仕事」の内容を少しご紹介します。約25年前からお知り合いのお二人。ついつい本音も飛び出す(!?)対談になりました。

「ばったり」な二人

五味 思えば、長いお付き合い。ふとしたときやふとしたところで劇的に会うから、おもしろいよね。

江國 そうですね。先日も、ばったり洋服屋さんで会ったり、パリで会ったり。最初にお会いしたのは、雑誌の対談でですね。

五味 そうか。

江國 はい。その対談は、対談相手をリレー形式で選んでいくもので、童話屋の社長が、以前童話屋でアルバイトしていた私をそれに引っ張ってくれて、社長と対談をしたんです。

五味 社長とアルバイト店員の対談(笑)。

江國 次に私が選ぶ番で、会いたい人は? って聞かれて、五味さんって答えて実現した。すごくうれしかったですね。

五味 そこから10年に1回ぐらいは、公に対談してるよね。本日もどうぞお付き合いを。

江國 はい。

画像、対談の様子
(撮影:山本あゆみ)

バターとお砂糖

五味 『雪だるまの雪子ちゃん』(江國香織 作/山本容子 銅版画/偕成社/2009年)の中に、バターの塊っていうのがあるじゃない。あそこ大好きでさ。おれ、同じことやってるって。

江國 五味さんも?

五味 うん。バターの塊を口に入れるときって、おれも好きって思う。あれ、なんか勇気わく。エナジーなんだよね。バターだけじゃなく、お砂糖もさ。ポルトガルのお砂糖って、ゴリゴリ固まってるんだけど、あれも口に含むの好きで、含んだ途端に、「んっ、いい!」ってなるんだよね。

江國 そうですね。

五味 そういうこと文章で書いてあると、ちくしょうと思うね。あれは、文章じゃないと書けないんだよ、うん。

江國 でも、あの感じは、なんでしょうね。バターを使ったお料理はおいしいですけど、そのままエネルギーになる感じはしなくて、脂肪になりそうな感じがする。

五味 そうね。

江國 お砂糖も、お砂糖がいっぱい入ったケーキとかでは、なんか違う。

五味 口の中で溶けてくところが、自分の器官みたいなものが動いた実感があるんじゃないの?

江國 そう。そんな感じがしますよね。だからぜひじかに口に入れたい。

五味 そうすると、料理って客観的すぎるよね。「ホタテのバター炒め」におけるバターは、全然意味ないよね。

江國 そうですね。そのまんまじゃないと、駄目なんですよね。

五味 そう。あれはね、あの中で秀逸なんだよね、本当に。
『雪だるまの雪子ちゃん』の発想は、非常に絵本的。またイラストもあるんだけど、けっこうつらいよね、実はああいうのって。

江國 たぶんそうですね。

五味 山本容子さんがお描きになってるの?

江國 そうです。文章を書いてたときに想像した雪だるまとは、すごく違ったんですけど、今はもうあれしかない感じ。

五味 前に、「絵、描かないの?」って香織さんに聞くことから始まる対談、ありましたよね。「自分で描けよ」っておれが言ったら、「絵、描かない」って。

江國 (笑)。そうでした。

五味 「とても人さまにお見せできるものではないですから」ってね。でも、その人が頭の中で描いてる絵ってやっぱりすごくて、もったいないぐらいいいものが出てくるわけね。だから描いたらいいと思うんだけど。

続きは、「飛ぶ教室」42号(7月25日発行)で!

「飛ぶ教室」42号の内容は、こちらからご覧いただけます。

飛ぶ教室 第42号(2015年夏)

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