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トークイベント「今江さんのこと、『飛ぶ教室のこと』」 ささめやゆき

「飛ぶ教室」のご紹介

2016年6月2日 更新

「飛ぶ教室」編集部 光村図書出版

児童文学の総合誌「飛ぶ教室」に関連した企画をご紹介していきます。

トークイベント「今江さんのこと、『飛ぶ教室のこと』」 ささめやゆき

5月13日(金)、柏市の児童書専門店「ハックルベリーブックス」にて、「飛ぶ教室」45号の原画展にちなんで、画家・ささめやゆきさんのトークイベントを開催しました。

ささめやゆきさんの「今江さんとわたし」

今江祥智さんとの思い出を絵付きのエッセイで寄せてくださったささめやさん。まずは、そのページを参加者に見せながら、ひとつひとつのエピソードが語られました。

画像、トークイベントの様子

ささめや 今江さんとは、長いお付き合いではありませんが、お会いするたびに、「いっしょに仕事がしたいね」とおしゃってくださいました。でも、そのうち、そのうちと言っているうちに、今江さんの時間がなくなってしまって……。

今江さんといっしょに出した絵本は、『ねこじたなのにお茶がすき』(淡交社)だけです。でも、「飛ぶ教室」が復刊する時、1年間表紙を描いてほしいとお願いされました。当時、今江さんと編集長の石井睦美さんのお二人で自宅を訪ねてこられて……、今江さんとはおおいにお酒を酌み交わしました。その時は、いつ表紙の話をしたのか分からないくらい呑みましたよ(笑)。
そうして描いたのが5号、6号、8号の表紙なのですが、あいだの1号が抜けているのは、長新太さんの特集を組むということで表紙を長さんの絵に変更することになったからです。あの時、すでに表紙を編集部に渡していたので、きっと編集部のどこかにあるはずですが、さっき編集部に聞いたら、そこらへんに落ちているかもしれないと言われました(笑)。

また、今江さんは、新たな書き手を見つけては、世に送り出すような目利きでした。ぼくのこともずっと見ていてくれたようで、シンシア・ライラントの『神さまが……』を翻訳した時も、本に挟まっている読者カードに感想を書いて編集部に寄せてくれたんです。あの時は本当に嬉しかった。

絵と人生について思うこと

今江さんとのエピソードに参加者もくすくす笑ったり、ため息がもれたりと、終始和やかな雰囲気です。話は自然に、ささめやさんの絵と人生につながっていきました。

ささめや ぼくは、自分は絵があまりうまくないと思っているんです。絵が下手だからこそ、ある境地に到達したいと思ってずっと続けてこられた。
子どもの絵が下手だから絵を習いに行かせるという親御さんがいますが、それはどうでしょう。絵が下手なら、そのままでもいいのではないかしら。本人がある地点に到達したいと思って、ひとつひとつ積み重ねていくのがいいですよ。それは、人生も同じだと思っています。

お話の最後、ささめやさんが考案したという幻燈紙芝居が上演されました。光によって、映し出される幻想的な紙芝居。巻き取り式のカタコトという音も心地よく、紙芝居がはじまりました。

タイトルは「ノスタルジア」。ささめやさんが少年時代に見たこと、感じたことを思い出すままに描き出し、後から一場面一場面つぎはぎに繋ぎ合わせたという幻燈紙芝居は、どこか曖昧な記憶に似ていて、郷愁を誘う味わいのある紙芝居でした。

質問タイムでは、子どもから「好きな食べ物はありますか?」という素朴な質問も。「りんごが好きです。りんごは医者いらずと言ってね。最近は、冬の間にとれた倉庫に保存しているりんごを食べています」と、普段の姿をのぞかせつつ、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださいました。

画像、幻燈紙芝居の様子

「飛ぶ教室」45号の内容は、こちらからご覧いただけます。

飛ぶ教室 第45号(2016年春)

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