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「飛ぶ教室」編集部
光村図書出版
児童文学の総合誌「飛ぶ教室」に関連した企画をご紹介していきます。
スペシャル対談「漫画と小説」 森絵都×長崎訓子 [前編]
2017.02.23
特別編集長シリーズ第4弾「飛ぶ教室48号」発行を記念したスペシャル対談。長崎編集長のお相手は,『カラフル』(理論社・1998年)や,毎日中学生新聞に連載していた,不思議な旅をめぐるお話「Further sight 旅のかけら」(※)でご一緒し,以来,親しくされている作家・森絵都さん。
お二人のお話を3回に分けてお送りします。前編の今回は,「飛ぶ教室48号」の執筆陣のこと。長崎編集長が彼らに込めた思いとは?
※2000年に理論社より短編集『ショート・トリップ』として発行。現在は集英社みらい文庫などで読める。
左/長崎訓子さん(左)と森絵都さん(右)
右/森さんを特集した「飛ぶ教室39号」と,長崎さんが特別編集長を務めた「飛ぶ教室48号」
開拓し,走り続けたい
森 編集長,お疲れさまでした! 企画から全部されたんですか?
長崎 そうなんです。昨年の7月くらいから始めて。
森 けっこう時間かかっていますね。
長崎 準備が早かったんですよ。私が張り切りすぎました(笑)。
森 (笑)。私,くらもちふさこさんが大好きなんです。高校時代は,もう神のような存在。それもあって,巻頭のお二人の対談,すごく読み応えがありました。くらもちさんって,長い年月にわたってご活躍されながらも,どんどん進化していますよね。絵柄も,ストーリーも。その原動力みたいなものが伝わってきました。
長崎 今回の企画をいただいて,漫画を特集にしようとなったとき,くらもちさんには絶対登場してもらいたいと思ったんです。
森 ものをつくる人間って,歌や小説もそうだけど,長期間ずっと走り続けられる人って少ないじゃないですか。それも,開拓しながら走り続ける人って。だから,くらもちさんって本当にすごいエネルギーをおもちなんだなって。
長崎 森さんも同じ感じがしますよ。
森 そうしないと,自分に飽きて,行き詰まっちゃう気がするんです。だから,くらもちさんのように走り続けている人って,励みになりますよね。
熱い漫画愛でつながった執筆陣
森 今回の執筆陣を選ぶにあたって,長崎さんの中に基準みたいなものってありました?
長崎 自分の感覚で選んだところはあるんですが,それを言葉にすると何だろうって,最近考えたんです。たぶん,ずっと走り続けている人で,子どもや子どもの世界とちゃんと向き合っている人。かわいいとか,ほんわかとか,そういう子どもの描き方じゃなくて,自分の考えを「子ども」を使って描いている,「子ども」というモチーフに流されすぎない人たちかなと。
森
多彩な顔ぶれですよね。いがらしみきおさんの「無人野菜販売所」(本誌:p13)も,すごく分かります。こういう所に泊まりたいっていう子どもの感じ,大人には全く分かんないんだけれども,まさに子どもならではだなって。
描き下ろし漫画のテーマ設定は自由だったんですか?
長崎 「子ども」をテーマにしたものか,「子どもの本」のコミカライズでお願いしました。あとは,特集名「漫画の子どもたち」と,この特集にかける私の思いを伝えたら,みなさん,自由に考えてくださったという感じです。
森 長崎さんの熱い漫画愛が伝わった?(笑)
長崎 そうですね(笑)。
森 長崎さん,「長崎家の本棚」(本誌:p90)で,「恋愛漫画がちょっと苦手」っておっしゃっていますよね。今回の執筆陣にも,見事にその傾向が強く出ていますね(笑)。私もそんなに恋愛ものが得意じゃないんですよ。
長崎 ですよね。だから,私,森さんの読者でいられるんです!(笑)
森絵都(もり・えと)
1968年東京都生まれ。作家。『リズム』でデビュー。著書『宇宙のみなしご』『つきのふね』『カラフル』『DIVE!!』『クラスメイツ』『みかづき』ほか。
長崎訓子(ながさき・くにこ)
1970年東京都生まれ。イラストレーター。文学漫画集『Ebony and Irony』『MARBLE RAMBLE』,作品集『Daydream Nation』『COLLAGES』ほか。
人物写真:長岡博史
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