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第2回 リモートだからこそできる授業とは(授業計画編)

2020年7月29日公開

北海道教育大学附属釧路中学校教諭 更科結希

「リモート授業って,普段の授業を見つめ直すきっかけにもなるなぁ……」

実際のリモート授業では,対面授業のときよりも,指示や発問が明確でなければ生徒に伝わらないということを痛感しました。そうした基本的な授業の展開の見直しをしながら,リモート授業だからできることを増やしてきました。具体的には,対面の授業より生徒のアウトプットを多くしたり,考えの共有を即時的にできるアプリケーションを活用したりしました。今回は,中学3年生で実施した授業について紹介していきます。

鑑賞の授業に挑戦

完成した作品

 中学3年生の最初の題材「メッセージを持ち歩く(表現・鑑賞)」は,リモート授業からスタートしました。発信したいメッセージをエコバッグにプリントし,持ち歩くことで,多くの人々に見てもらうことをねらいとする題材です。解決していない社会問題を置き去りに,ニュースはコロナ一色となった今の社会を見渡して,自分が気になる社会問題を見つめるところから授業は始まりました。

 この授業を展開するうえで,エコバッグに印刷するデザインの構想までをリモート授業によって効果的に扱えるのではないかと考えました。そして,色や形によって多くの人々に自分のメッセージを伝えられることを理解していくために,鑑賞の授業を組み込むことにしました。

 鑑賞する作品は,ちょうど臨時休業中にグラフィティアーティストのバンクシーがインスタグラムで公開した作品Game Changerを扱いました。リアルタイムでアーティストが発表した作品を扱うことは,生徒にとってまれなことであり,貴重な機会となりました。

授業の流れ

図1は,全7時間の授業の流れを示したものです。今回は,メッセージを込めたデザインを考えるために設けた鑑賞の授業を紹介していきます。

図1 「メッセージを持ち歩く」授業の流れ

他者と考えの共有を行うために

これまで鑑賞の授業は,他者と意見を共有したり,板書をしてまとめたりしながら展開してきました。しかし,リモートの環境の中では,ビデオ会議ツールGoogle Meet上で生徒の意見を集約し,その意見を用いながら話を展開していくことになります。即時的に教師が生徒の発言をまとめたものを可視化するためには,オンライン上での共有アプリを有効に使う必要があると考えました。そこで,アプリをいくつか検討し,図2で示した2つを実際に使用しました。

図2 実際に鑑賞授業で使用したアプリとその特徴

アプリ名

アプリの特徴

リモート授業での使用場面

miro

有償(無料で使える機能もあり)のホワイトボードツール。マインドマップのテンプレートなどが豊富に揃っている。使用後の記録は会議のホストのアカウントに残る。

教師が作ったマスターシートに,図やテキストなどを参加者が共有できる。クラス全体での交流に使用した。

Google スライド

無償(Googleアカウント取得の必要あり)のプレゼーションツール。スライドをグループで共有して作成することができる。作成したスライドは全員が閲覧し,保存することができる。

グループごとにスライドを準備し,Google Meetを使って話をしながら,意見を書き込んでいった。

授業では,まずmiroをクラス全体で使用するホワイトボードとして活用し,生徒からたくさんの意見を引き出せるようにしました。次にGoogleスライドを使い,各グループでの話し合いで出た意見を集約しました。Googleスライドは,作成したスライドをクラスの全員で共有し保存することができるため,話し合いの記録を残したい場合に使用しています。

このように,授業で使用する場合には,生徒の操作性と授業のねらいに即した使用ができるアプリの選択が重要となります。

今回は鑑賞の授業の流れと,使用したアプリについて解説しました。次回はリモートで鑑賞の授業を行ったときの実際の様子についてご紹介します。

更科 結希(さらしな・ゆき)

北海道生まれ。北海道教育大学附属釧路中学校教諭。北海道教育大学卒業後,北海道釧路町の公立中学校教諭を経て,2012年4月より現職。北海道教育大学大学院修了。現在,研究主題「創造活動の価値を見出すことができる児童・生徒の育成」の実現に向けて,日々授業研究を行っている。


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