動作もコミュニケーションのひとつ

2020年6月16日公開

北海道厚岸町立真龍中学校教諭  大畠マリア

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、学校でのさまざまな活動にも感染予防対策が必要になり、今まで当たり前のようにできていたことができないご時世となってしまいました。

英語の授業で考えると、Small Talk、答え合わせ、Speaking活動、Writingの読み合いに音読練習など、授業のさまざまな場面で生徒どうしや一斉に声を出す活動を行うことが多くあります。しかし、グループ活動や向き合って大きな声を出すことは、感染のリスクが高いとされています。「ペアワークやグループワーク、一斉音読を控えてください」と言われたとき、「そんな英語の授業なんてできるわけがない!どうしよう……」と不安になったのは、きっと私だけではないはずです。

できないことはいろいろあっても、やっぱり英語の授業を本当のコミュニケーションの場にしたい! なにより、生徒とのコミュニケーションを楽しむことを諦めたくない! そう思い、そのために今できることを考えてみました。

まず、授業のあらゆる場面で行っていた生徒どうしの活動を、教師対生徒のやり取りに変えること。そして、その1対1のやりとりをクラス全体に広げることを、いつもより意識的に取り入れることにしました。一斉に発言する代わりに、手をあげたりうなずいたりするなど、意思疎通の方法も工夫しました。以下は、その実践例の一部です。

(例) Small Talk 「週末にしたこと」

※教師対生徒(個人)を、教師対生徒(全体)のやり取りに広げる。

教師 What did you do last weekend?
I cooked burritos. I like Mexican food.
They were very delicious.
What did you do last weekend, S1?  ←個人1

生徒(S1) I played games.           

教師 Oh, you played games. How was it? Was it fun?

生徒(S1) Yes, it was. 

教師 Good. Who played games last weekend?  ←全体へ

生徒(複数) ( raise hands )

教師 What games did you play, S2?  ←個人2
※ ask follow-up questions

生徒(S2) I played Monster Hunter.

教師 Sounds fun. Did you get a nice monster?

生徒(S2) Yes. I got ....

教師 That’s cool. How about you, S3? ( the students who didn’t raise the hand ) …  ←個人3

※このあと、「全体」→「個人」と続く。

*  *  *  *  *  *

重要なのは、大がかりに授業を変えるのではなく、普段からやっていることを意識的に取り入れながら、授業の形を変えていくことだと思います。生徒どうしでこれまでのようなコミュニケーション活動ができないことは、確かに教室での授業が大きく制限されると思います。しかし、こういうときだからこそ、例えば教師から全体への問いかけに対して、「挙手したりうなずいたりするなどの動作で反応すること」もコミュニケーションの一つの形だということを生徒たちに伝えつつ、よりよい活動につなげていけたらいいなと考えています。


Illustration: ひこ

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