Withコロナ時代に英語力を伸ばすための「家庭学習」のポイント 【第2回】
2020年6月24日公開
広島県福山市立福山中・高等学校教諭 上山晋平
前回は、「単語」「文法・表現」「音読」を、家庭学習でいかに定着させるかについてお伝えしました。今回のテーマはこちらです。
第2回 「準備」を促す ~「授業での発表」と「検定(や入試)」に向けて~
以下の2つのことを、家庭で準備する際のポイントについて取り上げます。
- 授業での発表
- 検定(や入試)
「Withコロナ時代に、発表? 検定?」と思われる方もいるかもしれませんね。しかし、これらは英語力向上に大きく貢献するものなので、家庭での時間をうまく活用しながら、ぜひ取り組んでほしいと思います。
1. 授業での発表に向けた準備
スピーチやプレゼンテーションなどの「発表」は、準備をするのに、ある程度時間のかかる活動です。新型コロナの影響で授業時数が少なくなり、音声中心のこうした活動はつい避けたくなるところですが、発表準備を行うことを通して、英語力が大きく向上するという利点があります。授業で習った(インプットした)表現を、実際に使ってみる(アウトプットする)と、正しかったのか、正しく使えているかどうかの検証効果も得ることができ、上達につながるのです。
そこで今回は、教科書本文を使った「発表」の指導例をご紹介します。Withコロナ時代の「発表」は、家庭学習の時間もうまく活用して準備を進めること、発表時間は短くすることがポイントです。
◆教科書本文のリテリング(再話)
以下は、既習Unitのリテリングを、1人1分間の発表として行うものです。私はこれをShort Presentation(SP)と呼んでいます。「リテリング」と呼ぶよりも、「Short Presentation(SP)」と呼ぶほうが、意見を伝えるプレゼンテーションということがはっきりとし、表現方法を含めたプレゼン能力の向上も見込まれます。また、「Short」とつけることで、生徒は心理的にも取り組みやすくなるようです。
【準備(家庭で)】
① 教科書本文を読み直して、要約(Summary)に外せない「キーワード」を書き出す。
② キーワードを使って英文をまとめてみる。
③ その際、できるだけ新出単語や文法・語法を入れる(新たに使える表現が増える)。
④ 時間を計って、ひとり言のように言ってみる。
リテリングのコツは、理解した本文内容を自分の言葉で要約する(Summary)だけで終わらずに、自分の意見や新情報(Something new)を加えることです。SPを目ざした準備としては、先ほどの①~④に加えて次の2つを行います。
⑤ Something new(意見、体験、新情報)を加える。
⑥ プレゼングッズを準備する(スケッチブック、小物など)。
生徒が各自の意見を加えることで思考力の向上につながり、聞き手もプレゼンテーションをより楽しむことができます。人によって発表内容が異なるからです。また、プレゼングッズを自作することで、発表に愛着がわいたり、内容がより定着したりする効果も得られます。
家庭でリテリングの練習をしやすくするために、教科書のイラスト(もしくは指導用教材のピクチャーカード)をコピーして配布してあげるのもおすすめです。

(イラストを見ながらリテリングをする)

2. 検定(や入試)に向けた準備
新型コロナの影響で、今春の英検やTOEIC、TOEFL等の検定試験は、延期・中止など異例のスタートとなりました。今後もしばらくは、感染予防に配慮しながらの受験になりますが、英語力を伸ばすための貴重な機会ですので、可能なかぎりチャレンジさせたいものです。
ここでのポイントは、「力がついてから受験しよう」でなくて、「まずは申し込みをすること」が大切ということです。人は、申し込むと「やらなきゃ」と思ってやる気がわいてきます。検定本番までの「締切効果」で集中して勉強することにより、自分の英語力を伸ばせるのです。
最近では、英語検定の試験にもライティング(自由英作文)が入っているので、2次試験の面接(スピーキング)も合わせて「英語4技能」の力を伸ばす機会となります。
入試に向けた学習も上記と同様に取り組みます。
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今回は、「準備」を通して英語力を伸ばすポイントをお伝えしました。
スピーチ、プレゼンテーションについてもっと詳しく知りたい方は、以下もご参照ください。
『中学・高校 英語スピーキング指導』上山晋平 著(学陽書房)
次回は、ネット上のサイトやアプリを活用して、楽しみながら家庭学習を進める方法をご紹介します。お楽しみに!
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