授業時間が足りない! そんなときの時短ワザをご紹介

2020年6月10日公開

長野県佐久市立野沢小学校・泉小学校専科教諭  折橋晃美

コロナ禍の影響が残る中、「とにかく時間が足りない!」というのが、先生方のいちばんの悩みではないでしょうか。そこで、私案ですが、小学校英語授業で使える“時短ワザ”をいくつかご紹介したいと思います。大事な活動をただ減らすのではなく、内容を効果的に組み合わせることで、子どもたちも無理なく取り組めるやり方です。学校・クラスの状況に応じてアレンジ可能ですので、参考にしてみてください。

Unit 結合のワザ

まず、『Here We Go!』5年 132~133ページ(5年生で学習した表現)を見てみましょう。

このページは1年間の振り返りに使うものですが、逆に私たち教師にとっては、1年間でこれだけの表現に出会わせていけばいいという一覧です。眺めてみて何か気づくことはありますか?

そう、Unit1~4、6の内容は、自己紹介ベースでパフォーマンステストができるという共通点があるのです。この共通点を生かせば、パフォーマンステストの回数を減らすことができます。

画像、教科書紙面

『Here We Go!』5年 p132-133「5年生で学習した表現」

この5つのUnitを合わせたパフォーマンステストを行うとします。子どもたちは各Unitで学習した内容から一つずつ自分の言いたいことを盛り込みます。聞く側には、友達が話す5つの情報をしっかり聞き取るという明確なタスクが与えられます(5つのUnitでは多すぎる場合は、数を減らして調整しましょう)。

このとき、以下のようなワークシートがあるとよいと思います。

画像、ワークシート例

友達が話す内容を聞き取るワークシート(青字は、児童の書き込み例)。

友達に質問ができたり、「僕も〇〇が好きだよ。同じだね。」といった発言ができたりしたら、ポイント高め、なんていうアナウンスをしておくと、子どもたちは喜んでいろんな表現をします。発表はクラス全体で行ってもいいのですが、グループごとでもいいかもしれません。机間指導しながら素敵な自己紹介を先生が見つけてもいいですし、子どもたちにたずねてもいいかもしれませんね。

ひとつのUnitでパフォーマンステストを行うよりも内容が充実するので、この結合ワザはおすすめです。

アルファベットはまとめて学習してもOK

5年の前半に、アルファベットの読み方と書き方を学ぶページ「Alphabet Time」があります。

大文字(28~29ページ)→ 小文字(38~39ページ)→ 大文字と小文字(48~49ページ)の順に学習しますが、子どもたちは4年生までの外国語活動でアルファベットには触れており、ローマ字も習っているので、クラスの状況によってはこれらを全部まとめて学習することもできます。

子どもたちの中には、大文字と小文字を分けて習わないほうが、むしろたくさん発見があったり(子どもに違いを発見させてほしい!)、ローマ字も訓令式とヘボン式は比較して両方覚えるほうが楽しくて頭に入ったりすることもあるようです。書く活動もさせていきたいので、アルファベットの学習は1学期の早いうちに行っておきたいですね。

画像、教科書紙面

『Here We Go!』5年「Alphabet Time」には、受動的になりがちなアルファベットの学習を能動的に学べる活動を設定しています。上記(赤い囲み部分)は、大文字から小文字への変化を考える活動です。決まった答えはないので、アルファベットがすでに書ける児童も、不安が残る児童も、みんなで楽しむことができます。また、大文字と小文字をいっしょに覚えられる、体験することで記憶に残る、といった効果も期待できます。

感染症対策をしながら、8時間を5時間に(5年 Unit 3を例に)

まず、この単元のゴールを確認してみましょう。47ページ「ふりかえろう」コーナーのCAN-DOには、「教科や曜日など時間割について伝えることができた」とあります。そして、このページの写真の中で子どもたちが持っているのは、グループで協力して創作したスペシャル時間割。本当は時間をかけて子どもたちに時間割を作らせたいけど、こんなに時間が取れるかなあ? とちょっと心配になりますね。

画像、教科書紙面

『Here We Go!』5年 Unit3 p47

そこで、組み合わせたり、取り換えたりできる活動はないか、考えてみます。

41ページの「キーワードゲーム」も、43ページの先生が選んだ教科当ても、45ページの「コネクト3」もコロナの感染のことを考えるとしばらくできそうにありませんね。

では、41ページの表にある教科名を、どうやって楽しく覚えられようにしましょうか。42ページのチャンツから始めてみるのもいいですね。さらにキーワードゲームをポインティングゲームに替えれば個人内で完結させることもできます。

画像、教科書紙面

『Here We Go!』5年 Unit3 p41,42

そして、語句の定着を図るためには、常に、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことを結びつけていく意識が大切です。小学校の先生方はいつもやっていますよね。

例えば国語の時間の漢字のエアーライティング(空書き)。英語を専科にしている私より、皆さんのほうが絶対得意なはずです。Japaneseって言いながらエアーライティングする、言いながらゆっくり書く、だんだん速くする、「今、書いてる文字は何でしょう。『ジャパニ……』」まで発音して問いかけてみる、文字を書きながら言わせてみる、高速エアーライティングする、などなど、単調になりがちな練習を楽しい練習に変えてしまう魔法のような手法を先生方はすでにお持ちなのです。この手法は、キーワードゲームより鮮明に、子どもの記憶に残るかもしれません。

スリーヒントクイズなんかもいいですね。その教科の特性をヒントにすると、いいリスニングになりますし、思考が深まります。“First hint! We love this subject. Second hint, we use many tools. Third hint, we do it in the school ground or gym.”などと言うと、子どもはすぐに反応してくれるはずです。言語知識の導入はたくさんあるので、あとは、「子どもの理解」を「即時表現させる」と、複数技能が結びつきます。クイズのあと、43ページのLet’s writeに取り組めば、書いて伝えることができるようになります。

さて、先に述べた47ページのスペシャル時間割はどうやって作りましょうか。友達との協働作業で1週間の時間割を作ることになっていますが、少しでも時短を求めるなら、各自で1日分の時間割を作り、みんなのを合わせて1週間の時間割にするといいでしょう。スペシャル科目も入れた楽しい時間割作りは、宿題でもいいと思います。それぞれが仕上げてきた時間割を、先生が子どもたちの前で組み合わせてみる。そして、みんなでコメントし合ったり、違う組み合わせにしてみたりする。毎日体育という超スペシャルな1週間の時間割が出来上がる、といった予想外の面白さも加わります。短い時間で楽しい活動ができるので驚きです。ぜひやってみてください。

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