生活科実践アイディア 横浜市立池上小学校の取り組み③

夏休み前に取り組みたいこと

「(7)動植物の飼育・栽培」は、2年間を見通して計画をたてる

生活科の9つの内容のうち、「(7)動植物の飼育・栽培」だけは、2年間とも扱うことになっていますが、軽重をつけ2年間を見通して計画を立ててみるとよいと思います。

今年は学校生活のスタートが遅れて、アサガオの種まきができなかった学校も多いかと思います。1年生は、春にアサガオ等の栽培活動を実施しなくても、今の時期に種をまいて、年度内に花が咲くヒマワリ・百日草・オジギソウ・マリーゴールド・コスモスなどを栽培したり、秋に春咲きの種をまいたりという方法もあります。2年生も夏野菜を無理して育てず、冬野菜を一人一鉢で育てるという方法もあります。

 本校は、来年度から隣接区域の小学校と統合されるので、年度内に花が咲くヒマワリ・百日草・オジギソウ・マリーゴールド・コスモスの中から育てたい花を選び、保護者に相談して植木鉢を用意し、種から育てています。

「ヤゴを育ててね」年長さんと手紙で交流

トンボが飛んでいるところを見た子が、

「年長さんのとき、池上小学校にヤゴとりに来たんだ」

とつぶやいたことから、今年もヤゴを育てたいと思った子どもたち。

今年は、コロナ感染拡大予防のため、年長さんを招待してヤゴとりをすることはできません。

「今年で閉校する池上小学校のプールでヤゴを取るのは最後だから、年長さんにヤゴを届けたい。」

子どもたちは、思い思いに手紙を書き、出身園の年長さんに届けました。

今年度は、年長児との交流も今までのようにはできないと思いますが、手紙やファックス、ビデオレターなどいろいろな方法での交流を考えるとよいと思います。

年長さんに送った手紙

7、8月は、水遊びを取り入れた活動で熱中症対策

休校期間が長期に及んだ関係で、夏休みを短縮する学校が多いようです。水泳学習を見送る学校もある中、水遊びを取り入れた活動は、子どもたちにとっても魅力的です。環境省の暑さ指数を参考にして、こまめに水分補給をする、日陰で活動する、帽子をかぶる、距離をとってマスクをはずすなどの熱中症対策をするとよいでしょう。

具体的には、シャボン玉遊びや飛ばしっこ競争、水のお絵描きなどの活動が考えられます。

シャボン玉は、ストローで息を吹いてつくる方法だけでなく、針金ハンガーや紙コップ、毛糸などを使って、大きいシャボン玉を工夫して作ることもおすすめです。

また、おもちゃづくりなども、水に浮かべるものにする方法もあります。おもちゃづくりは、一人ひとりの活動が充実していることが大切なので、三密を防ぎながら取り組むことができると思います。活動場所を体育館や多目的ホールなど広い場所にするとよいでしょう。

伝え合いについては、動く様子や設計図などを動画や写真に撮るなど、ICTを積極的に活用するとよいと思います。

生活科の指導で大切なことは、その活動でどういう力をつけたいのか、本来のねらいを明確にすることです。このような不測の事態のときこそ、今一度、学習指導要領を読んでみるといいかもしれません。

そして、教科書に書いてあることを全部やろうと思わない、内容を詰め込みすぎない、柔軟に対応する姿勢が大切だと思います。

子どもたちと向き合い、何に興味・関心をもっているか見つけ出して、ゆったりした気持ちでそれぞれの学校に応じた生活科に取り組んでほしいと思います。

 

寳來生志子(ほうらい・きしこ)

横浜市立池上小学校校長

横浜市の公立小学校勤務ののち、平成24~28年には、横浜市こども青少年局担当課長として、スタートカリキュラム推進を担う。平成29年より現職。同校では、入学して間もない1年生の学校生活の様子を積極的に授業公開するなど、スタートカリキュラムのあり方を全国に発信している。著書に、『育ちと学びを豊かにつなぐ 小学1年 スタートカリキュラム&活動アイデア』(明治図書出版/共著)などがある。
「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編」作成協力者、「発達や学びをつなぐスタートカリキュラム」(文部科学省・国立教育政策研究所 編著)作成協力者、NHK Eテレ「おばけの学校たんけんだん」「すたあと」の制作協力などにも携わる。

 


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