クリエイティブディレクター 川村真司が選んだこの1点

「蛸」

「蛸」 画像
新聞紙、針金、ちらし/高さ25cm/青森県、3年

作者の言葉

タコの見た目、構造が好きで自分で形にしてみたいと思い、制作しました。ちらしには、人の目を引く赤色が多く使われているので、タコにぴったりだと思い使用しました。見ているだけで会話が弾むような作品にしたかったので、ちらしで見つけたおもしろい言葉や海の生き物、食べ物を散りばめてみました。

私が選んだ理由

「見る人それぞれが、物語を想像できる」

ちらしという人間社会でただただ消費されていくような材料で生命を作るというコンセプトが、とても風刺的で面白い作品だなと感じました。また作者が意図して選んだ「海産祭り」「半額」「絶対お魚」といったちらしの情報が、この蛸に物語を足している点も素晴らしいと思いました。観る人それぞれがきっと違った物語を想像しながら鑑賞してくれるのではないでしょうか。僕は勝手に「大量に捕獲された上にスーパーで安売りされる魚類たちの怒りを一身に纏って、人間社会に復讐しにきた一匹蛸の物語」を想像してしまいました。

川村真司 画像

川村真司

1979年東京都生まれ。クリエイティブディレクター。光村図書高等学校『美術』教科書の編集委員。

2025年6月4日公開

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