オンライン学習で見えたこと ――「ふきのとう」「たんぽぽの ちえ」の実践を通して ①

2020年6月18日公開

約3か月の全国一斉休校。その最中には、各地で、子どもたちの学びをとめないための、先生たちの挑戦がありました。今回は、東京学芸大学附属小金井小学校の大村幸子先生に、Microsoft Teamsを活用したオンライン学習のご実践についてうかがいました。

――先生の学校では、4月に入ってからTeamsを活用した学習を始められたそうですね。

休校が始まってから、子どもたちと繋がることができずにいました。まだまだ休校が続くことが予想される中で、学びを継続させる手段はないかと、本校では、Teamsを活用することになりました。本校のICT部が中心となって、4月の上旬に児童教師全員のアカウントを発行してくださり、1時間程度の研修を受けて、すぐに活用を始めました。
オンライン学習というと、ビデオ会議ツールなどを使ったオンタイムの学習を思い浮かべる方が多いと思いますが、本校では、Teamsで学習課題を配信して、児童が成果物を投稿するという、オンタイムではない学習の形をとりました。家庭の状況はさまざまで、保護者の負担も大きいことが考えられましたし、全員同時でなくても学習を進められるのではないかと考えたからです。

――Teamsを活用することになった最初は、オンライン学習にどのような期待を持たれていましたか。

私は、4月に本校に着任したばかりで、半数以上の子どもたちと会えておらず、子どもたちの家庭や学習の状況が全くわからない状況でした。ですので、Teamsを活用することで、なんとか子どもたちと繋がりたいという思いがありました。4月の初めの段階では、Teamsを使って教科書の大きな単元を扱えるとは、まだ思っていませんでした。

――Teamsの活用に際して、気をつけられたことはなんですか。

担任していたのは2年生の子どもたちでしたので、保護者に協力をお願いしました。担任が保護者の端末に学習課題を配信し、子どもの取り組んだものを写真に撮って投稿していただくという形をとりました。そうした状況でしたので、二つの点に気をつけました。
一つは、時間やスケジュールです。担任は、朝の8時に配信をして、夕方16時までに返信をするという学校の時間に合わせて運用することにしました。また、家庭への負担を考慮し、月曜日に課題を配信して、その週の金曜日までに提出するというゆとりのあるスケジュールを設定しました。
二つは、オンライン学習に合った良質の課題を出すことです。オンライン学習では、子どもたちの心に、1回の配信で、いかに火をつけるかが大切です。その鍵は、課題提示や導入の工夫にあると思います。投稿してくれたワークシートを名前入りで紹介して、そこから課題を立ち上げたり、パワーポイント資料に画像を入れて、内容を捉えやすいように工夫したりしました。

――まずはどんな学習に取り組まれたのですか。

生活や学習の実態がわかりやすい課題として、日記とお勧めの本紹介に取り組みました。それぞれのチャネルを作り、まずは私が見本を書いて配信しました。子どもたちは、友達の投稿や、投稿への私のコメントも全て読むことができます。友達や先生と繋がっていることを、子どもたちも感じることができたのではないかと思います。

※Microsoft Teamsでは、「チーム」というグループの中に、「チャネル」という小さいグループを作り、「チャネル」単位でスレッドを作成することができる。

日記を書く課題の例として、子どもたち向けに配信した担任の日記。

――オンライン学習が始まって、子どもたちからはどんな反応が返ってきましたか。

子どもたちから日記が投稿されはじめて、それにこちらがコメントすると、とても喜ばれました。子どもどうしもメッセージを送りあい、そのやりとりを私が価値づける中で、教師と子ども、子どもと子どもが繋がっていきました。教室で普段行われていることが、Teamsでもできるということが、2週間くらいかけて実感できました。そこで初めて、「ふきのとう」や「たんぽぽの ちえ」に取り組もうと思うことができたのです。


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