学校再開後のカリキュラム・マネジメント ポジティブに、今できることを考える②

2020年6月29日公開

大谷 俊彦(高知市立城東中学校校長)

学校行事のカリキュラム・マネジメント

「3密」をすべて回避しなければならないとなると、今までどおりに体育祭や修学旅行を実施することは難しくなります。体育祭一つとっても、開閉会式の廃止、騎馬戦や綱引きなど密接する団体競技の廃止、保護者などの観客の削減、応援合戦など生徒が密集する活動は廃止、平日2時間くらいで実施、などの開催方法での実施が検討されています。

修学旅行も同様です。本県では、費用を安価に抑えるために、貸し切りバスを利用することが多いのですが、文部科学省の指針では、「バスなどを利用する場合、換気に十分注意し、生徒の座席の距離をとるように」と書かれており、6月3日に日本旅行業協会から出された「旅行関連業における新型コロナウイルス対応ガイドラインに基づく国内修学旅行の手引き(第1版)」には、「各輸送機関の座席については、乗り物内の換気機能を最大限に作動させ、全員がマスクを着用した前提で、お一人様につき1席ずつの座席確保で対応」「旅行中も朝・夕の定期的な検温」といったガイドラインが示されています。

一人1席となると、今まで1台だったバスも2台必要になるし、旅行中の朝・夕の検温となると生徒数に見合った数の体温計の準備も必要になってきます。また、修学旅行では、一人1部屋などといった配慮はできないことから、複数で同室に宿泊することを考えると、「密」を完全に防ぐことなど不可能でしょう。

本校では、体育祭の応援合戦や「全校合唱コンクール」など、学年を超えて話し合い、みんなの力で新しいものを生み出していく、創りあげていくといった活動を通して、初めて生徒に「主体性」や「実行力」、「創造力」や「表現力」といった本校が掲げる「城東コンピテンシー」が育まれていくものと考えています。保護者の方や地域の方に見て、評価してもらってこそ、生徒たちの達成感や成就感、自尊感情は高まるのです。

総合的な学習の時間のカリキュラム・マネジメント

こうしたことは、総合的な学習の時間でも同じことが言えます。本校の場合、今年度から、探究的な学びとなるよう総合的な学習の時間の学習内容をすべて一新し、カリキュラム開発を行い準備してきましたが、果たしてその内容をどこまでできるのか現段階では予測できません。

総合的な学習の時間の醍醐味は、何といっても、地域の方やさまざまな職業人などたくさんの方とつながり、関わっていくことにあります。こうした活動を通して、生徒たちは学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的・創造的に取り組む態度が育ち、自己の生き方を考えることができるようになるのです。しかし、「新しい生活様式」の中、人と関わりがもちづらい総合学習では、生徒たちが主体的に課題探究することは難しくなっています。

そこで本校では、「こうした状況下でもできる総合的な学習の時間の成果発表を模索しよう」と、今年度は「仲間」「地域」をベースに学年ごとのテーマを決め、各学級の取組を映像にまとめ発表会を行うこととしました。映像にまとめるといったことを経験した教員が少なく、ICT機器の操作への不安や抵抗感をもつ教員もいましたが、「YouTube」全盛の中、生徒たちの力を借りながら進めていくことにしました。

学校に、ICT 環境が整備され、各教室で、「Zoom」などを使って、各クラスの発表を聞くといったことができればいいのですが、公立学校にはまだまだそれに対応できるICT環境は整備されていません。しかし、今後はこうした学習を通して、生徒たちの情報活用能力や言語能力を高めていくことが必要だと考えています。

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