学校再開後のカリキュラム・マネジメント ポジティブに、今できることを考える③

2020年6月29日公開

大谷 俊彦(高知市立城東中学校校長)

授業における工夫――ソーシャルディスタンスを確保しながら

この状況の中で、「主体的・対話的で深い学び」「学校のソーシャルディスタンス」を実現するために授業で何ができるのか、教員は日々試行錯誤しています。ここで、本校の一例をご紹介します。

黒板メッセージ

朝の会や帰りの会における教員の話の時間は限られているので、少ない発話の中で多くのことを伝えるために、「黒板メッセージ」という手法を取り入れました。生徒たちが帰った後の放課後、学級の黒板に、今日一日を振り返り、良かったことや感動したことを書き、明日頑張ってほしいことなどを前向きな言葉でメッセージとして伝えることで、担任と生徒の心をつなぐ有効なツールとなっています。

グループディスカッションの場の工夫

授業において「対話的な学び」が当たり前となった今、本校では、この「対話」と「ソーシャルディスタンス」の両立を目指し、飛沫感染防止に向けたさまざまな取り組みを行っています。

外国語の授業で、自己紹介の際、マスクをした自分の口元に下敷きやノートを立てて対話する方法

 

4人グループの机を横一直線に並べ、同じ方向を向いて話し合いを行っている様子

 

4人の机をロの字型にし、真ん中に空間をとってお互いの距離を確保する工夫

ポジティブに、今できることを考える
――「嘆くばかりでは何も始まらない!」

「嘆くばかりでなく・・」  城東中学校 3年 男子

私は、新型コロナウイルス感染防止対策の臨時休校期間中は、不要不急の外出を控え、家でできることをしていました。例えば、インターネットで調べ学習をしたり、DIYをしたりと普段できないことに取り組みました。学校とはまた違う知識を蓄えられたと思っています。
しかし休校が伸びるにつれて、徐々に心配が増えてきました。修学旅行や体育祭、合唱コンクールなど学校行事がどうなるのかということです。現在、県内の感染者は74人で、少ないとは言えない数です。3年生にとって、部活動や学校行事は今年が最後。「中止がどんどん増えていくのでは」という不安と、世界みんなで収束させようと頑張っているのだから「受け入れなければ」という気持ちのはざまで、私の心は揺れています。
でも、嘆くばかりでは何も始まりません。普段できないことに挑戦したり、受験生は復習に時間を費やしたりと、今できることはたくさんあります。後ろ向きにならず、ポジティブな心で、挑戦してみたいと思っています。
一日も早く、今までの学校生活が戻ることを心から願います。

これは、中学3年生の生徒会の男子生徒が、地元の高知新聞に、中学校特派員だよりとして投稿し掲載されたものです。見事に、われわれ教職員や生徒の思いを代弁してくれています。教職員、保護者、地域の方々は、「最終学年の3年生には、中学校最後の体育祭や修学旅行、文化発表会などを実施してあげたい。」と同じ思いでしょう。

日々刻々と状況が変わる中、どの方法をとっても、これが正解というものがあるわけではないため、今、これから先の学校行事等について断言することは難しいと思います。

「生徒や教職員の安全を最優先に考えるなら中止」という選択肢もあるでしょう。しかし、体育祭の応援合戦や学習発表会のような自分たちで創りあげていこうとする自主的・実践的な活動を通して味わう成就感や連帯感は、何物にも代えがたいものです。校長としては、ぎりぎりまで実施の可能性を探っていきたいと考えています。

嘆くのではなく、こんな時だからこそポジティブに、学校として今何ができるのかを常に考えていきましょう。

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