新入生だからこそできる!臨時休業期間中の課題案 ~コロナ禍の生活を豊かにする「読書生活デザインノート」~②

2020年7月16日公開

埼玉大学教育学部附属中学校教諭 廿樂裕貴

「読書生活デザインノート」の返送と「『読書あれこれ』名作集」(5月21日)

すべての生徒に読書生活デザインノートを返送しました。返送にあたって、「読書あれこれ」の欄の記述で読書生活を豊かにしていることが分かる生徒のものをプリントにまとめ、てびきとして同封しました。

「読書あれこれ」に様々な工夫をした生徒の作品集。「読者あれこれ」は読書経験がないと書くことが難しいため、空欄の生徒が少なからずいました。そこでプリントにまとめ、てびきとして配布することで、それらの生徒が充実した読書生活を送れるように意識しました。特に感心したのは次の4名の生徒です。

この生徒は、「読書好きの子は文章を書くのも好きって本当!?」という問いを立て、調査活動をしています。自粛生活中にも関わらず、工夫をして調査探究をしているのが素晴らしいです。「今回は10人で調査したため、みんなが文章を書くのが好きではないとははっきり言えない。」との記述には探究心の強さもうかがえます。

この生徒は、自宅にある本棚の本を調べ分類して円グラフにしています。「両親がよく山に行っていました」ということで山岳系の雑誌が多いということから、読書は自分の生活を表すということにも気づけそうです。卒業するときにもう一度作ってみようと課題を出しました。本棚がどのように変わるのか楽しみです。

この生徒は、「本から感じる歴史」というテーマで短いエッセイを書いています。祖父の本を受け継ぐことで、当時の貨幣価値や印刷技術にまで思いを巡らせています。「これらの本は私の貴重な宝物です。」という言葉には実感がこもっています。学校再開後に聞いたところ、「竹取物語」はもう読んだとのことで、他の作品はこれからじっくり読むそうです。

この生徒は、「やまなし」の考察を書いています。①なぜ舞台は川なのか。②「やまなし」はどうして「やまなし」という題名なのか。という問いを立て、自身の「やまなし」論を見事に展開しています。小学校時代から宮沢賢治を研究していたそうで、賢治の生活にも触れて圧倒的な熱量で書き切りました。「先生はどう思いますか?」に応えるのが大変でした。


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