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手紙で気持ちを届けよう-体験的な学びの提案-

2020年7月1日公開

広島大学大学院教授 松本仁志

学校は再開されましたが,人と人との距離を保つソーシャル・ディスタンスは,ギャングエイジの中学年児童にとってはさぞやつらいことでしょう。物理的な距離が“心の孤独”につながってしまう場合も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回おすすめしたい書写の学びは,「書くこと」の言語活動例(第3学年及び第4学年)にある「伝えたいことを手紙に書く活動」です。“心の孤独”に陥らないようにするには,まず自らが誰かと気持ちでつながろうとすることが大切です。

光村の国語教科書には,3年上P.60に「気もちをこめて『来てください』」,4年上P.62に「お礼の気持ちを伝えよう」という二つの単元があります。「気もちをこめて『来てください』」は、運動会などの学校行事への案内状を書く単元ですが,「見に来てほしい人」を思い浮かべて丁寧に気持ちをこめて書くところがポイントです。また,「お礼の気持ちを伝えよう」は,社会科見学などの後にお礼状を書く単元ですが,「お世話になった方」を思い浮かべてお礼の気持ちをこめて書くところがポイントです。両者ともに実際に手紙を出して“気持ちを伝えること”を想定した単元です。

今はまだ,校外学習や学校行事は十分に行えませんが,誰かを思い浮かべて伝えたいことを手紙に書いて気持ちを届けることはできるはずです。地域をまたぐ移動にもまだ慎重さが求められていますので,遠方の親戚や友だちなどに手紙を書くことを想定してもよいでしょう。返事が来るように工夫できたら,さらにおもしろいですね。

手紙の書き方は,書写の教科書で学びます。3年生ではP.18.19に,4年生ではP.40に手紙の書き方が具体例とともに示してあります。社会と自分とのつながりを少しずつ学んでいく中学年の段階で,手紙文の書式や封筒の表と裏の書き方といった社会の慣習的ルールの存在を知ることは,たいへん意味があることだと思います。ソーシャル・ディスタンス重視の今の状況を機会と捉え,手紙の書き方を知識として身に付けながら,子どもたちに自ら手紙を書いて実際に出すという一連の体験をさせてみてはどうでしょうか。

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