2学期のスタートにあたって

2学期のスタートにあたって

2020年9月2日公開

広島大学大学院教授 松本仁志

今回は、2学期の書写学習のスタートにあたって、先生方に留意していただきたい点についてお話しします。

1学期は、オンライン授業や家庭学習の期間が長く、例年に比べて、先生の目が届く範囲で児童が文字を書く機会は確実に減ったものと思われます。平仮名、片仮名、新出漢字などの習得度合はもちろん気になるところですが、「姿勢」「鉛筆の持ち方」「丁寧に書こうとする態度」など、先生による直接的で継続的な指導が必要な指導事項についても、気にしておきたいところです。

そこで、先生方には2学期の早い段階で、普段の子どもたちの文字と、文字を書く様子について、次の観点からチェックすることをおすすめします。

① 正しい姿勢と鉛筆の持ち方で書こうとしているか。
② 一画一画を意識して書こうとしているか。(とめ、はね、払いも含めて)
③ 字形を整えることを意識して書こうとしているか。

低学年の子どもは、正しい姿勢や鉛筆の持ち方などがまだ定着していないかもしれません。中学年や高学年の子どもは、相手意識や目的意識がおろそかになって、雑で読みにくい文字を書くことが常態化してしまっているかもしれません。

光村図書の「書写」では2学期の学習内容の重点を次のように想定していますが、上記①②③は書写学習への大切な構えですから、これらをおざなりにしたまま次の内容に進んでも十分な成果は見込めないでしょう。2学期のなるべく早い段階でチェックして、子どもたちの書写学習への構えを整え直すことが肝要です。

低学年では、上の図のように、えんぴつの持ち方を確認するページがあります。
中・高学年では、上の図のように、裏表紙でえんぴつや毛筆の持ち方を確かめられます。

■2学期の学習内容の重点

1年生:漢字の書き方への基礎的理解
2年生:点画と点画の関係性への理解
3年生:筆圧への理解と漢字の組立て方への基礎的理解
4年生:文字の配列への理解
5年生:文字の大きさへの理解
6年生:目的や意図に応じた書き方への理解

コロナ禍が収束しないままに始まった2学期ですが、子どもたちの書写力向上のために引き続き頑張りましょう!


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