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アクティブ・ラーニング Q&A 第1回

アクティブ・ラーニングQ&A

2015年11月30日 更新

冨山 哲也 十文字学園女子大学教授

今、関心が高まる「アクティブ・ラーニング」。先生方からの疑問にお答えします。

冨山哲也 (とみやま・てつや)

十文字学園女子大学人間生活学部児童教育学科教授。東京都公立中学校教員、あきる野市教育委員会、多摩教育事務所、東京都教育庁指導部指導主事を経て、平成16年10月から文部科学省教科調査官(国語)、国立教育政策研究所教育課程調査官・学力調査官。平成20年版学習指導要領の作成、全国学力・学習状況調査の問題作成・分析等に携わる。平成27年4月から現職。第1期<絵本専門士>。

第1回 アクティブ・ラーニングとは?

Q:アクティブ・ラーニングとは、どういう学習を指すのでしょうか。

A:課題の発見・解決に向けて、主体的・協働的に学ぶ学習のことです。

平成26年11月に、文部科学大臣から中央教育審議会に対して、「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」という諮問がされました。これは、次の学習指導要領の在り方についての検討を求めたものです。この諮問文の中で、「アクティブ・ラーニング」という言葉が使われて、注目されるようになりました。諮問文の中では、「課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)」という言い方がされています。

アクティブ・ラーニングについては、現在、中央教育審議会で議論されている最中であり、学習指導要領上の位置付けや定義などはまだ明らかになっていません。参考になるものとして、大学教育に関する文書の中で、次のように説明した例があります。

(アクティブ・ラーニングとは、)教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。(※1)

ここからわかるように、もともと、教師の一方的な講義に偏りがちな大学の授業について反省し、学生がもっと能動的に学ぶような形態に改めていこうとする考え方だということがわかります。

また、本年度から、国が実施する「全国学力・学習状況調査」の生徒質問紙調査に、次のような項目が加わりました。

授業では、学級やグループの中で自分たちで課題を立てて、その解決に向けて情報を集め、話し合いながら整理して、発表するなどの学習活動に取り組んでいたと思う(※2)。

このような学習活動が、アクティブ・ラーニングの姿であるということもできるでしょう。

※1 『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて─生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ─(答申)』(平成24年8月・中央教育審議会)の「用語集」より。
※2 教師質問紙の中にも、「授業において、(このような学習活動を)取り入れているか」を問う項目がある。

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