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山崎先生の
授業アイデア

山崎 正明

北翔大学教授

日々の美術の授業に役立つ,さまざまなアイデアをご紹介します。

山崎正明(やまざき・まさあき)

1957年北海道生まれ。北翔大学教授,元千歳市立北斗中学校教諭。北海道教育大学札幌校卒業。埼玉県で講師を務めた後,北海道の公立中学校教諭に。自身のブログ「美術と自然と教育と」で,授業実践や生徒作品などを紹介している。光村図書中学校『美術』教科書の編集委員でもある。

第5回 作品展示で大事にしたいこと

2016.09.07

みなさんは,生徒たちのつくった作品をどのように展示しているでしょうか。

私は,教師になったばかりの頃,自分がよいと思う生徒作品を選んで展示していました。しかし,選ばれなかった生徒の気持ちを考えると,これでよいのかという疑問も感じていました。

そんなときに考えたのが,年に一度,年度末に「これまで自分がつくった作品の中でいちばん気に入ったものを展示する」というものです。生徒全員に,お気に入りの作品を選ばせて展示したのですが,これはたいへん好評でした。しかし,年に一度でなく,展示の機会をもっと増やすべきだという思いが残りました。展示された作品を見ることは,生徒たちが互いのよさを知り,学び合うきっかけになるからです。

どのように生徒作品を展示するのがよいのだろう――。

これまで,試行錯誤を繰り返して考えた結果,私は次の二つのことを大事にして,展示するようにしています。

1. 生徒自身の言葉を添える

必ず生徒がコメントを書いたカードといっしょに,作品を展示するようにします。コメントの内容は細かく指定しませんが,自分が作品で表現したかったこと,つくったときの気持ち,また,作品に表現しきれなかったことなどを書かせるようにしました。このカードによって,「あの子,こんなことを考えていたのか」と,相互理解のきっかけがつくれると思います。(もし,カードに作品の出来栄えのことばかり書いているようだったら,それは私の授業が主題を生み出すという意味で弱かったと捉えて反省するようにしています。)

画像,生徒作品

「自分にとって価値のあるもの」というテーマで制作した生徒作品(左)とコメント(右)。

2. 生徒に「拒否権」をもたせる

二つ目は,作品展示にあたって生徒に「拒否権」をもたせるということです。展示されたくないと思った場合は,事前に申し出てもらうようにしました。と同時に,「拒否権」を使う生徒たちには,丁寧にヒアリングをしました。なぜ展示されたくないと思ったのかを聞き,私の考えも伝えるようにしました。すると,話している中で,「先生,やっぱり展示してください」と言ってくる生徒が多く出てきました。教師といっしょに自分の作品を見ながら話しているうちに,生徒が自分の作品のよさに気づいていくのでしょう。最初は,「拒否権」を使う生徒が,1クラスに数名いましたが,やがて,ごく少数かゼロになりました。

画像,生徒作品

作品は,コメントを書いたカードといっしょに展示する。

次回(9月中旬アップ予定)は,生徒作品を展示する際の具体的な工夫をご紹介します。