私の美術室
2022年1月11日 更新
全国の中学校・高等学校の先生に、美術室の工夫についてうかがいました。
360度写真で、実際に美術室を訪れたような臨場感が味わえます。
小西悟士 先生 (埼玉大学教育学部附属中学校)
美術室では「遊び心」を大切にしたいと思っています。いまの子どもたちは遊ぶ余裕がなくなっている。遊びという言葉にはいろいろな意味があって、ただ楽しく過ごすことも遊びですが、余白のことを「遊び」と言ったり、結果を恐れずに試してみることも「遊び」と言ったりします。そんな自由な空間、自分がひらめいたことをすぐに試して形にできる空間が、私にとっての美術室です。生徒も遊ぶし、教師も遊ぶ。一緒に遊べる「たまり場」のような場所にしたいです。
ここがポイント
教室の前の廊下には、先生が集めている名作椅子のコレクションが並べてある。「生徒には本物に触れてもらいたい。実際に座ってみると、見た目とは違う座り心地のよさを感じるはず」と小西先生。
椅子の前には、そのときに先生がセレクトしたさまざまな美術関連の本が並べられている。「ここは出入り自由のたまり場のような場所にしたい。椅子に座って、本をめくってみたり、おしゃべりしてみたり」。
教室の後ろにはさまざまな道具がきれいに整理され、収納されている。「生徒が使いたいと思った道具を、自分ですぐに取り出せるようにしておきたい。そこにストレスを感じさせたくない」と先生。
文具店の棚のように色ごとに収納されている色画用紙。その下にはさまざまな素材の紙が、これも色で分類されて置かれている。生徒が使いたい紙を自分で選べるようにしている。
椅子を製造する工場から提供された合皮の切れ端。「作品の材料にするというより、ただ触れてもらいたくて置いている。発想の引き出しを増やすためにも、さまざまな素材に実際に触れることはとても大事」と先生。
準備室に設置されている撮影用のライトボックス。「完成作品はできるだけきれいに撮影してあげたい」。3年生が制作した中庭のデザイン案の模型は、撮影してウェブにアップし、全校生徒が投票できるようにしたという。
全体に向かって話すときにはマイクを使う。風邪で声が出なくなったときに、体育科の先生に貸してもらって以来、マイクを使用するようになった。授業の流れにメリハリがつき、生徒も話に集中する。
体育科の先生にゆずってもらったマイク用のスピーカーと、パソコンにつなげているスピーカー。授業中でも制作に集中してもらいたいときには音楽を流す。ふと耳に入る音からも発想のきっかけが生まれるという。
※これらのアイデアは、生徒の安全面に十分留意して行っております。
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