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学力を伸ばす学級経営Q&A 第2回

学力を伸ばす学級経営Q&A

2018年6月12日 更新

神山 安弘 専修大学客員教授

「主体的・対話的で深い学び」の視点から学級経営を考えるヒントを紹介します。

神山安弘(かみやま・やすひろ)

1951年横浜市生まれ。専修大学客員教授。元東京都江東区立明治小学校統括校長。文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議委員」などを歴任。

第2回 6月の学級づくりのポイント

子どもにとって学級はどのような場所でしょうか? それは、そこに行くことが楽しく、待ちどおしいと思う場所です。なんでも話し合える友だちがいる、自分のことを理解してくれる先生がいる、分からないことが分かるようになり、できないことができるようになる、それが子どもにとっての「学級」です。

学級は、教師が子どもの個性や可能性を見つけ「育てる」場所であり、子どもが自分の力を発揮しながら「育つ」場所です。優れた学級経営は、子どもの心や学力を育てます。そして、学級づくりが進むと「子どもの力」は伸びます。

このコーナーでは、若い先生方から寄せられた質問をもとに、私の長年の経験を通して見えてきた「子どもの学力を伸ばす」学級経営の在り方についてお答えします。

Q.授業が思うようにできません。子どもが活躍する「授業」は、どのようにすればいいのでしょうか。

4月に新しい学年・学級がスタートし3か月が過ぎました。6月に入ると子どもは学級にも慣れ、落ち着いた雰囲気の中で授業を行うことができます。この時期は、子どもが活躍する「楽しい授業、わかる授業」を創りあげることが大切です。

また、今年度は新学習指導要領への移行1年目で、「主体的・対話的で深い学び」をどのように授業で実現するかという課題もあります。新学習指導要領の趣旨を生かし、子どもが活躍する「授業」を実践するためには、「学びを支える力」の育成と「授業づくり」の基本を確認することが大切です。

まず、子どもの学校生活を通して三つの「学びを支える力」を育てましょう。

◆ 「自分が認められ、他者を認める」学級集団をつくる

学級のどの子にも「居場所」と「出番」がある授業を実践することです。どの子も「参加」することができ、「役割」がある授業です。学級のみんなで、仲よく、楽しく授業を創る学級集団を構築することが、授業づくりの「土台」になります。

◆ 子どもの「自尊感情」を育む

教師は子どもの学校生活の様子から、頑張りやよさを「認め」「励まし」「称賛する」ことを適切に行うことです。子どもが達成感を感じたり挑戦する心が芽生えたりすることで自尊感情が育まれます。子どもの自尊感情を高めることで、主体的に授業に取り組むことができます。

◆ 「学習規律・学習ルール」の定着を図る

学校や学級の「学習規律・学習ルール」を繰り返し確認し定着させることです。落ち着いた学習環境を創り、安心して学び合う授業をすることができます。そのために、学ぶ姿勢、発言のしかた、話の聴き方、ノート指導、家庭学習など、子どもの学習習慣を見つめ改善を図ることが大切です。

また、子どもが活躍する「授業」を実践するためには、三つの「授業づくり」のポイントがあります。

1.45分の「学習の進め方」を確立しよう

学習の過程を「つかむ(課題把握)」「調べる(自力解決・検討)」「まとめる(評価)」など学習の過程を確立することです。子どもは次の学習への見通しをもち、安心して学ぶことができます。教師の「板書」や子どもの「ノートづくり」にも連動させましょう。

2.授業の内容を「焦点化」しよう

授業は「目標」「学習活動」「まとめ」の展開が一貫しており、焦点化されていることが大切です。教材の理解を深め、焦点化し、「何を」「どのような方法で」「学んだ姿は」をイメージし、子どもが授業の「見通し」をもって取り組めるようにしましょう。

3.「学び合い」のある授業にしよう

子どもは友だちと関わり合いながら学びを深めていきます。協力することや多様な考えや考え方を知り、自分の学びを深めていきます。授業に「学び合い」の場を設定し、ペア・グループ・全体の相互交流を工夫し充実した活動にしましょう。

子どもが活躍する「授業」は、教師と子どもの信頼関係の上に展開されます。「授業づくり」は「学級づくり」です。子どもに「学びを支える力」を育むこと、そして「授業づくり」の基本を確認しながら「授業力の向上」を目指していきましょう。

次回は、9月の学級づくりについて取り上げます。

Illustration: みずうちさとみ

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