学力を伸ばす学級経営Q&A
2018年4月13日 更新
神山 安弘 専修大学客員教授
「主体的・対話的で深い学び」の視点から学級経営を考えるヒントを紹介します。
神山安弘(かみやま・やすひろ)
1951年横浜市生まれ。専修大学客員教授。元東京都江東区立明治小学校統括校長。文部科学省「全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議委員」などを歴任。
第1回 4月の学級づくりのポイント
子どもにとって学級はどのような場所でしょうか? それは、そこに行くことが楽しく、待ちどおしいと思う場所です。なんでも話し合える友だちがいる、自分のことを理解してくれる先生がいる、分からないことが分かるようになり、できないことができるようになる、それが子どもにとっての「学級」です。
学級は、教師が子どもの個性や可能性を見つけ「育てる」場所であり、子どもが自分の力を発揮しながら「育つ」場所です。優れた学級経営は、子どもの心や学力を育てます。そして、学級づくりが進むと「子どもの力」は伸びます。
このコーナーでは、若い先生方から寄せられた質問をもとに、私の長年の経験を通して見えてきた「子どもの学力を伸ばす」学級経営の在り方についてお答えします。
Q.学級担任としての「学級づくり」の初めは、何を大切にしていけばいいのでしょうか。
「子どもが輝く」学級づくりのために、まず、「学級担任」として大切にしたい四つの基本があります。これは、年間を通じて常に心がけていきたいことです。
◆ 子どもが「安心」して過ごせる学級をつくる
子どもは学級の中で理解され、受け入れられることで能力を発揮します。どの子も、自分の全てを表現しても大丈夫という安心感がもてる学級づくりに努めましょう。
◆ 一人一人の「子ども」を理解する
子どもは「変化」します。子どもの本当の姿を知るために、学校生活のさまざまな場面で子どもと関わり、子どもの中に入り、子どもの全体像を理解しましょう。
◆ 「今しかできない指導」と「今だけではできない指導」の区別をする
子どもを指導するには、適切な効果的なタイミングがあります。時や場を見極め、指導する内容を「今しかできない」「今だけではできない」の視点で精査しましょう。
◆ 「スルー」と「妥協」に注意する
担任として学級で決めたきまりは必ず守ることが大切です。「スルー」や「妥協」を続けている限り、きまりを定着させることや成長を期待することはできません。
この四つの基本を押さえたうえで、4月の学級経営は、まず以下の三つのポイントに取り組んでみましょう。
1.子どもの心をつかむ
一緒に遊ぶ、話を聞く、子どもを理解する、頑張りを認める、楽しい授業や達成感を感じる授業をする、など子どもと関わり(共感・協働)、信頼関係を築きましょう。
2.「初めてのこと」を大切にする
始業式、全校朝会、給食指導、測定・検査、体育(音楽)朝会、避難訓練など、学年によっては初めて体験することがあります。その目的、方法、期待する姿などを明らかにし、指導を徹底しましょう。
3.学習活動の習慣化を図る
意欲的に授業に取り組む、自分の考えを表現する、話し方・聞き方、ノートの使い方、話し合い活動の進め方などを明らかにし、学習規律やルールの指導を徹底しましょう。
4月の学級経営は、1年間の学級づくりのスタートです。目指す学級の姿を示し、学習のルール、生活の約束など学校生活の基本を指導し、徹底する時期です。それは「教育力のある学級集団」を育てる大切な一歩になります。子どもの学力を伸ばす学級経営の土台をしっかり築いていきましょう。
次回は、6月の学級づくりについて取り上げます。
Illustration: みずうちさとみ
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